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御徒町樹里の冒険(改)  作者: 神村 律子
悪魔ムツリ編
47/52

悪魔ムツリの逆襲 その二

 悪魔コツリの脅威を退けた勇者一行がいました。


 彼らは、コツリの弟ムツリの策略で次々に襲撃され、負傷しました。


 そんな中、遂に元魔王コンラの号令で、ムツリ達のいる孤島に行く事になりました。


 傷の癒えないネコにゃんとリクはコンラの屋敷に残ります。


 そして彼らに付き添うノーナは、涙を飲んで同行を諦めました。


 メル友の怪力娘ユーマは一緒に行きたかったようですが。


 


 そしてコンラとその妹である御徒町おかちまち樹里じゅりが大きな帆船を用意し、何も力にならないと思われる元勇者、コンラの夫で大魔導士のカジュー、怪力娘でキャットファイトのチャンピオンであるユーマ、美人武闘家姉妹のカオリンとユカリン、更に新に仲間に加わった剣士ゴウンが同行します。


「ムツリのいる孤島は、数知れぬ罠がございます。お気をつけ下され」


 ゴウンが言いました。するとユーマが、


「やっぱりノーナがいる方がいいのねん。彼女はトラップ発見の名人よん」


「案ずるな。罠など心配せずとも良い。私が島ごと吹き飛ばす」


 コンラが言いました。隣でカジューが苦笑いしています。


 だったら、私達は何のために同行したのです?


 カオリン達はそう思いましたが、言えません。怖くて。


「見えて来ましたよ、ムツリの島が」


 元勇者なのに、監視役をさせられている元勇者が言いました。


 非常にややこしいので、彼に名前をつけます。


 元勇者の名前は、ユウです。そうです、手抜きです。


「酷い……」


 地の文に嘆くユウです。


「よし、支度致せ。乗り込むぞ」


 コンラが言います。


「さっき島ごと吹き飛ばすって……」


 そう言いかけた空気が読めないユーマをカオリンとユカリンが押さえつけます。


 


 そして一方ムツリ達も、コンラ一行が現れたのを知りました。


「もう来たか。よし、スザー、軽く捻って来い」


 ムツリが愉快そうに命じます。


「はい」


 武闘家スザーはニヤリとして隠れ家を出ました。


 


 砂浜を見つけて船を寄せた樹里達は、上陸をすませ、島の中央を目指していました。


「この先にムツリの隠れ家がございます」


 道案内はゴウンです。次の瞬間、彼の目が鋭くなり、右手が刀にかかります。


 空気がビュンと揺れるような感じがしたかと思うと、ゴウンの剣を真剣白羽取りで受け止めているスザーがいました。


「ゴウン、裏切り者め。一番に死んでもらうぞ」


 スザーの目つきが悪くなります。


「私は裏切ってなどおらぬ! 元々、ムツリに従った訳ではない」


 ゴウンはスザーの手から刀を抜き、バッと後ろに飛びます。


「貴方は私達が倒しますわ!」


 カオリンとユカリンが飛び出します。


「行きますわよ、ユカリン」


「はい、カオリン」


 二人は飛び上がり、スザーに迫りました。


ぬるいわ!」


 スザーも飛びました。


 カオリンとユカリンが同時にスザーに仕掛けますが、スザーはそれをことごとく受けてしまいます。


「そんな……」


 カオリンとユカリンは息も絶え絶えになり、地上に下りました。


「二人がかりでもその程度か。弱過ぎるぞ」


 スザーが挑発します。


「許しませんわ! さあ、ユカリン、私達の強さを見せてお上げなさい」


 ゼイゼイ息をしながら、カオリンが言います。


「いいえ、お姉様、ここは一つ、お姉様が見せて下さい」


 ユカリンもカオリンに譲ります。


 いつもなら「私が私が」になるのに、こんなところで譲り合い精神を発揮してしまいます。


「なら、私が行くのねん!」


 ユーマが進み出ます。スザーはフッと笑い、


「おお、おバカ娘か」


「おバカじゃないのねん!」


 ユーマはムッとしながらも、近くにあった大きな石をスザーに投げつけます。


「おっと」


 しかしスザーはひょいとかわしました。


「ムカつくのねん!」


 ユーマは辺りの石を次々に投げましたが、スザーはそれを軽々と全部かわしてしまいました。


「それならああ!」


 ユーマは一際ひときわ大きな岩を持ち上げ、スザーに投げます。


「ほお」


 スザーはニッとし、岩をかわしました。


「そこなのねん!」


 岩の陰からユーマが飛び出します。


「何!?」


 スザーは慌ててユーマをかわそうとしましたが、時すでに遅く、ユーマの怒りの鉄拳がスザーの肝臓レバーえぐっていました。


「うおおお!」


 ユーマは渾身の力を込めて左フックを振り抜きました。


 スザーはそのまま遥か後方に飛ばされ、土煙が上がりました。


「やったのねん! 美少女は必ず勝つのねん!」


 ユーマはそのない胸を張り、鼻の下を指でこすりました。


 ところがです。


「油断したよ、おバカさん」


 スザーの声がしました。


伯母加算おばかさん?」


 意味がわからないユーマは首を傾げました。


「キャン!」


 次の瞬間、ユーマは海まで飛ばされていました。


「その程度でやられる私ではないよ」


 スザーは無傷のまま戻って来ていました。


「何、あれ?」


 元勇者ユウは思わず樹里の後ろに隠れてしまいました。


「さてと。次は誰かな?」


 スザーの顔が、兇悪になりました。

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