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御徒町樹里の冒険(改)  作者: 神村 律子
悪魔ムツリ編
46/52

悪魔ムツリの逆襲 その一

 かつて悪魔コツリを倒した勇者の仲間達が次々に襲われる事件が起こりました。


 そんな中、全く狙われる様子もない元勇者は勇気を出してムツリの仲間だった剣士ゴウンに尋ねました。


「僕って、襲撃対象に入ってますよね? 何せ勇者なんだから」


 誘導尋問のような元勇者の質問に、実直な性格のゴウンは困った顔をしました。


 その顔が何を物語っているのか、鈍感な勇者にもわかりました。


「勇者様は、相手にされていないという事ですわね」


 美人武闘家カオリンの妹ユカリンがゲラゲラ笑いながら言い放ちます。


「ううう……」


 涙目でユカリンを睨む元勇者ですが、何も言い返せません。


「笑い過ぎですわ、ユカリン。いくら本当の事でも、もう少し言い方がありますわよ」


 そう言いながら、カオリンはユカリン以上に笑っています。


 この場でゴウンに二人を斬り捨ててもらえないだろうかと真剣に考える元勇者です。


「それより、私のカジュー様に傷を負わせた暗黒騎士、許せませんわ! きっとブサイクで頭が悪いので、カジュー様に嫉妬したのですわ!」


 カオリン姉妹は「打倒暗黒騎士」で一致しました。何故か抱き合って泣いています。


「しかし、暗黒騎士セインには恐るべき再生能力がありまする。いくら攻撃しても、彼奴あやつは死にませぬ」


 ゴウンは重々しい口調で言いました。するとそこへカジューがやって来て、


「確かに。あの再生能力は脅威だ」


 カジューは纏わりつこうとするカオリンとユカリンを振り払い、妻であるコンラの部屋に行ってしまいました。


「カジュー様あ」


 カオリンとユカリンは、悲しそうにカジューを見送ります。


 でも、相手が元魔王のコンラなので、これ以上の抵抗はできません。


 そこへ樹里が奥の部屋から来ました。


「ノーナ達は大丈夫ですか、樹里様?」


 ノーナのメル友の怪力娘ユーマが尋ねます。


「ノーナさんは大丈夫ですけど、猫さんが重傷です。リクさんもしばらく戦えません」


「猫と大飯食らいはどうでもいいのねん。ノーナが無事でよかったわん」


 ユーマはネコにゃんとリクに何か前世で恨みでもあるのでしょうか?


「皆、しばし良いか」


 コンラがカジューと部屋からやって来ました。


 一同がコンラを見ます。


「悪魔ムツリは、二ホン島から離れた孤島にいるらしい。これまでの礼を兼ねて、そこへ行く事にした」


 するとカオリンが、


「そこに、暗黒騎士もいるのですか、剣士さん?」


「はい。おるはずです」


 ゴウンはコクリと頷きます。


「私達が行きますわ。それで、全員ギッチョンギッチョンにして差し上げます」


 ユカリンが言いました。するとゴウンが、


「しかし、そこにはスザーもおりますぞ。彼奴も尋常でない強さ。お嬢さん方二人では、危のうございますぞ」


 カオリンとユカリンは、ゴウンに「お嬢さん」と呼ばれたので、手を取り合って喜んでいます。


「そのスザーだかマザーだかも、今度は負けませんわ!」


 カオリンが言い切ります。するとコンラは、


「行くのはここにいる全員だ。出発は明朝。以上だ」


と言うと、カジューと部屋に戻って行きました。


「ここにいる全員? って事は?」


 カオリン姉妹とユーマが、可哀想な子を見る目で元勇者を見ました。


「な、何ですかあ!?」


 元勇者は誰かの物真似で言い返しましたが、誰にも気づいてもらえず、ションボリしました。


「悪魔を封じられるのは勇者様のみですよ、旦那様」


 樹里が優しい笑顔で元勇者に言いました。


「ありがとう、樹里ちゃん」


 元勇者は号泣しています。


 


 そして、ここは悪魔ムツリの隠れ家がある孤島です。


「計画通り、コンラ共はここに来るようです」


 スザーが言いました。ムツリはニヤリとして、


「そうか。ここが奴らの墓場になる」


と言うと、高笑いしました。

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