襲撃される仲間 その一 カオリン姉妹
栖坂月先生、午雲先生、無断でお名前を使ってごめんなさい<(_ _)>
美人武闘家姉妹として、二ホン島中にその名を轟かせているカオリンとユカリンの姉妹は、時々喧嘩をしながらも、仲良く暮らしていました。
「それにしても」
カオリンはキッチンのテーブルで頬杖を着いて溜息を吐きます。
「カジュー様とコンラの間に赤ちゃんが生まれたのは、ショックですわ」
するとユカリンがニヤニヤしながら、カオリンに近づき、
「コンラはカジュー様の子供を生んだので、もうカジュー様はいらないらしいですわよ」
「本当ですか、ユカリン?」
カオリンがいきなり立ち上がったので、二人の頭が思い切りぶつかりました。
「いったああ! 急に立ち上がらないで下さい、カオリン!」
「貴女こそ、私の後ろに立たないで欲しいですわ、ユカリン!」
二人は闘気を身にまとい、戦闘態勢に入ります。
その時でした。
「お前達が、噂の美人姉妹武闘家か?」
いきなりイケメンが入って来て言いました。服装から、格闘家のようです。
二人はイケメンを睨みましたが、自分の好みだったので急激に性格を変化させました。
「まあ、ようこそいらっしゃいました、私が姉のカオリンですわ」
カオリンはユカリンの足を引っ掛けて倒し、イケメンに近づきます。
「そうか」
イケメンがそう呟いた次の瞬間、カオリンは壁に叩きつけられていました。
「グフ……」
決してカオリンはMSの名を呼んだ訳ではありません。うめき声です。
ユカリンはちょうど立ち上がったところでしたが、姉が壁にめり込んでいるのを見て唖然としました。
「わが名はスザー。二ホン島一の武闘家。そして、悪魔ムツリ様の右腕」
イケメンはニヤリとして言いました。
「は!」
ユカリンも何もできないまま、カオリンの隣にめり込みました。
「ふぐ……」
ユカリンもうめきました。スザーは二人を嘲るように笑い、
「かつて勇者と共に悪魔コツリを倒したというのは、偽りかな? 弱過ぎる」
スザーは目の前のテーブルを目にも留まらぬ速さでバラバラに砕き、立ち去りました。
「うう……」
カオリンとユカリンは、ドサッと床にずり落ちて、そのまま気を失ってしまいました。
二人が次に目を覚ましたのは、自分達のベッドの中でした。ふと横を見ると、心配そうな顔の樹里がいます。
「樹里様!」
カオリンとユカリンは、樹里を見て泣き出してしまいました。
「何があったのですか?」
樹里は先日、コンラの邸にムツリという悪魔が現れた話をし、コンラが共に戦った仲間の心配をしたので、様子を見に来たと言いました。
「そのムツリの右腕だが左脚だかの武闘家の、スザーという男が来ましたの。お恥ずかしいのですが、私達、全く歯が立ちませんでしたわ」
カオリンは涙を拭いながら言いました。
「そうなんですか」
樹里は考え込んでいるようです。
「後は誰が危ないのでしょう?」
するとユカリンが、
「後の連中なんて、大して役に立たなかったのですから、狙われたりしませんわ」
と言い放ちます。しかし樹里は、
「すみません、名前を忘れてしまいました」
「ええ!?」
カオリンとユカリンは、樹里の反則に近いボケに驚愕しました。
その頃、スザーは二ホン島から遠く離れた孤島にいました。ムツリの隠れ家がある島です。
「そうか。武闘家の二人は、あっさりと倒せたか」
コンラを襲撃して、自分もあっさり倒されたはずのムツリがそんな事はなかったかのように言います。
「はい。あとは、盗賊と戦士と勇者です」
するとムツリは、
「勇者はいい。あれは全く活躍していないから、倒す必要もない」
かなり酷い言われようの勇者様です。ご本人が聞いたら、さぞかしショックでしょう。
「盗賊と戦士は、ドウホクカイ王国にいる。そこには、剣士のゴウンが向かっておる。もうすぐ吉報が入ろう」
ムツリはまさしく悪魔のような顔(?)で笑いました。