表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/52

カオリン、走る!

 私はカオリン。美人武闘家ですわ。


 そして私はユカリン。やはり、美人武闘家ですわ。


 また貴女、私の邪魔をしますの、ユカリン?


 そうではありませんわ、お姉様。私、カジュー様の居場所を突き止めましたのよ。


 え?


 ここからは通常の文体になります。


「そ、それは本当ですか!?」


 私はワナワナと震えながら尋ねましたわ。ユカリンはニッコリして、


「ええ、本当ですわ。遂にその時が参りましたのよ、お姉様」


「え?」


 いつになく殊勝な態度の我が妹に、私は一抹の不安を感じました。


「お姉様とカジュー様が添い遂げる時が参りましたのよ」


 ユカリンは涙ぐんで言いました。


 とうとう、このおバカな妹も、私の魅力に敵わないと気づいたようです。


「ありがとう、ユカリン。では、参りましょうか、カジュー様の元へ」


「はい」


 私達は、カジュー様が暮らしているという高原を目指しましたわ。




 それはそれは、長く過酷な旅でした。


 カジュー様のお屋敷が見えた時には、私達はもう何日も飲まず食わずの状態でした。


 それでも、愛しいあの方にお会いできると思うと、力がみなぎるのです。


「さあ、お姉様、カジュー様はあのお屋敷の中です。思いのたけをぶつけてらっしゃい」


「ええ!」


 姉思いの妹に後押しされて、私はカジュー様の待つお屋敷へと走りました。


「カジュー様!」


 私は玄関の大扉を開け放ち、叫びました。


「誰だ、お前は?」


 そこには、鞭をしならせ、鬼の形相で立つかつての魔王コンラがいました。


「げ」


 私はパニックになりそうです。


 そうです、カジュー様はコンラと暮らしていたのです。


 すっかり忘れていました。


「おお、コンラ様、もっとぶって下さい」


 コンラの向こうには、赤くなったお尻を突き出すカジュー様のお姿が……。


「し、失礼しました!」


 私は慌てて逃げようとしましたが、コンラの魔法の方が一瞬早く、黒焦げにされました。


 それでも何とかそこから逃げ出し、命だけは助かったのです。


「ギャハハハハ、お姉様、最高ですわ!」


 黒焦げの私を腹を抱えて笑うユカリン。


 私はこのバカな妹にまんまと騙されたのでした。


 コノウラミハラサデオクベキカ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ