怪力娘ユーマの後日譚
私はユーマよん。天下無双の怪力なのねん。
ある男に騙されて、「お前は私の妹だ」と言われ、そいつの国に行ったのねん。
王国の王女様。古い少女マンガだったらハッピーエンドだったのよん。
でもよく考えたら、私は下町育ちのチャキチャキの江戸っ子だったのねん。
決して、作者が間違えたわけではないのよん。
王国の生活は、単調でつまらなかったので、私はある夜、お城を逃げ出したのよん。
でも、どこに行こうかしらん?
お城を出て、夜の街へ出たら、たくさん声をかけられたわん。
「お姉ちゃん、美人だねえ。ウチで稼がない?」
「ウチで踊らない?」
「ウチで○×△□……」
最後のは、18禁発言だったので、伏字にしたわん。
ついでに全員、軽くボコってあげたわん。
私を誰だと思ってるのよん。
怪力無双のユーマ様よん。
そして思い出したわん。
私が只一人勝てなかった相手。
樹里様。
カッコいいお姉様。
私は別にそういう趣味はないけど、強い女性には憧れるわん。
私は、樹里様のいらっしゃるマングー王国を目指したわん。
途中、たくさんの誘惑があったわん。
そのほとんどは、「ウチで踊らない?」系だったわん。やっぱりボコってあげたわん。
私はそういう女じゃないのねん。
でも、一つだけ心惹かれたところがあったわん。
「猫合戦会場」
よく意味がわからなかったけど、どうやら格闘技の世界大会らしいのねん。
「最強は誰だ?」
そう書かれていたわん。
決まってるわん。最強はこの美少女戦士ユーマ様よん。
すぐにエントリーしたわん。
「これがバトルスーツだ。これに着替えて」
と袋を渡されたのねん。
「ブ……」
中を見ると、水着が入っていたのねん。しかも、最小限度しか隠さないような奴なのねん。
恥ずかしかったけど、最強の称号を手に入れるために、決断したわん。
そして特設リングに上がったわん。
「ぎょえ」
何故かリングは、泥で埋め尽くされていたわん。
「こ、これはもしかして……」
それがキャットファイトという、「ウチで踊らない?」系の「格闘技」だったと知ったのは、それから間もなくだったわん。
そして私はその世界で一番になったのねん。
そして私はまた旅を続けたわん。
樹里様。待っててね。