働くカジューさん
私はカジュー。かつて並ぶ者がいないと言われたほどの大魔導士だ。
今でもその力は健在で、私の周囲の人々は、畏敬の念を持って私を見ている。
私は愛するコンラ様を養うために、仕事をしている。
この世界は、かつての魔法戦争により、気候が変動してしまい、雨ばかり降る地域と全く降らない地域がある。
そんな格差を是正するため、私は仕事をしている。
「カジュー様、お願い致します」
村の長老以下、たくさんの者達が私の前で土下座する。
私はフッと笑って渋く決めた。
「承知した。見ておれ、我が力を!」
私が杖を高く掲げると、たちまち黒雲が天をおおい、雷と共に雨が降り注ぐ。
「おおおお!」
村人達は大喜びで雨に打たれ、それを口に含んだり、桶に溜めたりしていた。
「ありがとうございます、カジュー様!」
また皆が私にひれ伏す。
私は満足感に浸り、コンラ様の待つ家に帰った。
「ぐおおお」
庭に入った途端、コンラ様の業火に焼かれた。
「カジュー、朝食べたサラダにこんな大きな石が入っていたぞ」
コンラ様が、嬉しそうに握り拳大の石を見せる。
あり得ないのだが、反論はできない。
「申し訳ありません、コンラ様。以後気をつけます」
私は消し炭になった服を払い落としながら、お詫びした。
「わかれば良い。今宵が楽しみよな」
コンラ様は頬を赤らめて立ち去る。
「……」
コンラ様は私がミスをすると、夜も壮絶な罰を下さる。
だから私はコンラ様から離れられない。
ムフ。