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勇者初恋の狂気乙女vs魔王ちゃん現代リベンジ!!  作者: 幻想卿ユバール
第一章
6/14

【第一回目から魔王倒されるってマ?:part5】

「かっこいい・・・とは?」

素で思っていたことを口にしてしまった、またしても。

「お前・・・何を突然・・・しかもカッコいいって正気なのか???」

佐々木には少々引かれ気味だし、なんなんだこの状況。

「鈴木だから」

「そんなことはどうでもいい」

「ひどいんよ・・・」

「かっこいいってのはなんていうか・・・その、魔王に恐れず戦い、しかも従えているというこの魔王よりも魔王らしいというか・・・めっちゃかっけぇと思いました」

「は、はぁ・・・それは褒められているのかしら」

「一様、褒めているつもりです!!」

「そ、そう」

「(真桜ちゃんめっちゃ困惑しているがな)」

少し真桜さんを困惑させてしまったが、なにはともあれ気持ちを伝えられたのはよかった。

こんなに気持ちをはっきり伝えたいと思ったのは初めてかもしれん。

そのうえごはんを一緒に食べさせてもらえてもはや嬉しすぎることこの上ない。

この機会に何か聞けることあれば聞いておこう。

「真桜さんって趣味なんですか?」

「血なまぐさいグロテスク作品を見ること、ホラーテイストな作品も好き、魔王ちゃんを日々拷問とお仕置きを考えるのも最近の趣味かもね」

「(この人怖くない?真顔でとんでもないこと言ってるよこの人)」

「いい趣味っすね!」

「マジかよ勇者」

この現代では血を見ることなんて稀なのにあえて自ら架空世界の血を見たり、リアル寄りの作品を鑑賞することで耐性がついていく、いやむしろ生まれ持ってそういう感性が強いのか、戦場に一人いるといい兵士に育ちそうだな~。

「(大変だ・・・説明セリフでロクでもないこと考えている、勇者ついに壊れた)」

この勢いでほかにも聞いておかなくては。

「真桜さんは好きなモノとかあります?」

「そうね、心臓とか」

「一度でもいいからやってみたいこととか」

「相手の心臓を引きちぎるとか」

「好きな作品とかなんかあります?」

「メイドインアビ〇、エルフェンリー〇、BLOOD-〇、ほかにもまああるけどそういうのが好き」

「好きな食べ物は?」

「肉」

「嫌いな食べ物は?」

「虚無」

「好きな拷問は?」

「指を一本一本折る」

「(やっぱかっけぇな~・・真桜さん)」

俺は思わずニッコニコしながら真桜さんの答えに満足気になってしまった。

「(こ、怖ェェェッ!!え、なんでアイツこれを聞いて平然としてられんの!?やべーやつだ、子供のころから何か歪んだ感性と独特なセンスを持った非常に関わってはいけないタイプのやべーやつだ・・・ッ!絶対一人か二人くらい人を殺めている!!というか途中からなんか質問の内容おかしい気がしたけど!!)」

「真桜さんってやっぱかっけぇっすね!」

「・・・」

表情一つ変えず、すべての質問に対してちゃんと返してくれる。

優しくてかわいい、そしてかっこいい・・・かっこ可愛い・・・。

「ねえ、勇者さん」

「はい」

と、俺が一人ほわほわ満足していたところに真桜さんが話しかけてきた。

「これだけ聞いてなにか変とか思わないの?」

「変とは?」

「私は別に自分の趣味とか思考がまともとか、これが普通だなんて思ってないタイプの異常者だから、普通こういうこと聞いてカッコいいとか出てくる人は見たことないけど」

「・・・?そうなんですか?俺はそうは思わないですけど・・・」

「・・・まあ、どうでもいいけど」

「(異常癖のくせに常識はあるなこの人・・・)」

表情は変わりない、ただ、どこか何か別の感情を感じる。

怒り?もしかしてなにか怒らせるようなこと・・・しているような気もしなくもない。

そういえば連続で質問をつづけていたような。

答えたくない質問とかあったかもしれないし、もしかしたらそれで嫌な気持ちになったとかだろうか、それはまあ・・・ありえなくはない。

「真桜さん、なんかすいません、悪いことしたなら・・・」

と、俺が謝ろうとした時、真桜さんが口を開き言葉を中断させる。

「いえ、べつに・・・ただ、変な人って思っただけ」

「変な人・・・」

印象はわりとよくなさそうだなこれは・・・。

しかし、あんまり表情が変わる人でもないからいまいち読みづらい・・。

めっちゃ嫌われてなければいいけど。

「・・・うぅッ!」

ガラガラ・・・ゴロッ!

と、その時・・・がれきがどかされなにかうめき声のような声がする。

声のする方を見て見たら、なんと魔王がなんと まおうが おきあがり。

こちらを クッソ にらみつけている!!

「(仲間にはならなそうだな、これは)」

思わず冷静にボロボロになっている魔王を観察していた。

ふわふわとした薄紫のようなロングヘアーは今は少しボロっと毛が跳ねる。

前髪の濃い紫のメッシュもちょっと変な跳ね方をしていた。

あのぶっかぶかのコートがそんなに荒れてないのと角が無事なのが奇跡と言えよう。

「おのれ・・・魔城!私をこんなボコボコにするとは許せん!!ストレイツ〇もきっと容赦せん!」

「いや、ストレイ〇ォ関係ないだろ」

魔王は勢いよく、指を魔城に指して再び荒げた声で宣言する。

「魔城!!テメェに散々やられてばかりでこの先私は生きていけん!今日も負けていたらまた明日私はお前に怯えて生きることになる!それを回避すべッ」

ガシッ

突如、魔王の前に現れるもう一人の魔王。

真桜さんは目にもとまらぬ速さで魔王の前に立ちはだかり、指していた指を掴む。

「ちょ・・・魔城・・・」

「言ったわよね、何度言えばわかるの?頭の悪い子」

グチャッ!ゴキュッ!

「ホアアアアアアァァァァッッ!!ユ、ユビガァァァァァァァッ!!ウォォォォォォォォォオォォォォォォォォォォォォウォォォォォォォォォ!!ピィィィィィィ!ンオ!オオン!オレノユビガッ!マッサオニィーッ!ナァンデジャァ!アアン!ウウン!ピヨキチエクポポポポポ!ンチュッァァーッ!」

ゆ、指が折れた・・・。

何の躊躇もなく、怒りのまま魔王の指を赤子の手をひねるごとく・・・。

泣き叫び地面で膝をついて指を抑えてただひたすら奇声を上げ続ける魔王。

「(ひねったのは魔王の指だけどな)」

「マァァァ!!マァアア!!マァァマァマァァァマ!!」

「マアマアうるさいわね、マアアさ〇かなにか?」

「真桜ちゃん、そこに規制かけても意味ないんよ、サザエさ〇って言ってんのよそれ」

真桜さんは続けざまに魔王の髪を鷲摑み静な怒りの声を出す。

「言ったわよね、私に対してはさんづけしろって、そして指を指すのを嫌うとも言ったわよね?なんで一度言ったことが覚えられないのかしら、物覚え悪すぎて非常に不愉快だわ」

「ゴ・・・ごべんなざい・・・は、反省します、もう2度としまぜんのでゆるじで・・・魔城ざん」

涙ながら震えた声と切実な思いに対して真桜さんも怒りを鎮めた。

「・・・わかればいいの」

「は・・・はい」

魔王が安心してこの一件は幕を閉じようとしていた時だった。

ズグシャアッ!!

「ゴフッ!!」

「ただ、躾が甘かったのは私の落ち度・・・今回は心臓ぶっこぬきで勘弁してあげる」

俺達が見た光景はなんとも信じられないグロテスク現場ッ!

真桜さんが完全に魔王の体に手をツッコみ心臓を掴んでいた!

「や、やめ・・・やめてぇ・・・」

「いい音するわぁ・・・これが心臓の生声なのねぇ?どんなに耳を澄ましてもこんなに綺麗に心臓の激しい鼓動を生で感じ取れることなんてない・・・」

「おま・・・おまえはくるってる・・・!おまえにんげんじゃねぇ・・・!」

「血が体から出ていく度に増す心臓の鼓動、ドクン・・・ドクン・・・」

息を荒くさせ、ここまで見たことのないほどの感情の高ぶりを見せていた。

他人が見た時に思うことはただ一つ、悪魔微笑みだろうか。

「・・・どうせ、かっこいいとか思ったんだろ?」

佐々木の一言に対して俺はフッと笑い返した。

「いや、可愛いなって」

「んもうや゛た゛ぁ゛この空間ァ゛ー゛ッ゛!」

真桜さんがとても楽しそうに微笑み、怯える魔王に言った。

「ねぇ・・・命が絶たれる瞬間はどんなに素敵なのかしら?」

「や、やめろォォォォーーッ!私はしにた」

グチャァァァアッッ!!

瞬間、魔王の体内からもぎ取られた心臓が真桜さんの手の中にあった。

魔王はそのまままたその辺に吹き飛び、倒れることになった。

心臓がとられた瞬間、この部屋の辺り一面に飛び散る血しぶきがこっちにも飛んでくる。

ただでさえ赤黒かった彼女の髪の毛は、さらに赤く、真っ赤に染まっていた。

「・・・あうあう」

佐々木がショックのあまりに思考停止していた。

そして、そんなことを全く気にせずこちらに振り向いて真桜さんは声をかける。

「・・・残酷でしょ?私って?」

ニヤッと微笑む瞳に、恐ろしくも、美しい、光のない眼が俺を見る。

その言葉に俺はただこう返した。

「まあ・・・残酷っすね」

「・・・でしょう、やっと」

フッと笑い、なにかを悟ったように俺に言葉を放つ真桜さん。

そんな真桜さんが続けて言葉を発する際に俺は言葉に割り込むように言った。

「でも、そこも好きっすよ」

「はあ!?」

「あっ・・・」

突然の好きという発言に驚愕している真桜さん。

そして、あまりの油断に俺は・・・好きと言ってしまった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] このパロディまみれメタまみれの感じ、僕も昔書いてたなぁ……(今は亡き小説) 登場人物が「残り◯◯◯文字だから……」とか普通に言ってるのシュールすぎて笑 まるでわたくしもその場に居合わせて…
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