【第一回目から魔王倒されるってマ?:part4】
「私、二発目なんすけどッ!!」
突然、魔王が声を荒げて言う。
「なに言ってんだ、今回想を終えてここにたどり着いたからちゃんと一発だ」
「お前、勇者ァ!完全に回想と別展開になってんだから二発目なんだよ!ここ普通なら魔宮がお前に近づいて「君の名は?」的なこと聞いてテメェが意味不明な回答してんだよ!一話見たか!?覚えてないなんて言わせないぞ!まだ三日前ぐぇ」
眼をかっ開き可愛らしい少女の姿から考えらない大分バラエティな声がする。
見た目は完全にラプラ〇なのに、謝れユバール。
と、そんなラプ・・・魔王に首を掴んで持ち上げ魔王の話をとめる。
間宮さんは口を開き・・・。
ドスンンんんッ!!
「カハッ!?」
開かない、速攻で腹にボディーブローを決める。
かなりの重みに白目をむいてしまった魔王。
「ま、まみ・・・」
「魔王ちゃん、言ったわよね、私の名前を呼ぶときは魔城さんでしょ?」
「ま、ましろッ!!?そ、そんなばかな・・・貴様の名前はまみや・・・」
「作者がたった今、魔宮だとなんか足りない気がしたから設定変更したの、私の名前は魔城真桜」
「(完全に魔王になったぁァァーーッ!!)」
凄い、この作品初期設定とかプロットとか全く感じない。
ていうかそれを逆手に取ってるキャラクターがいる。
「(真桜さん・・・かっけぇ・・・)」
俺は思わず我が道行く真桜の勇ましくも可憐な姿に惚れてしまう。
「この・・・お前・・・くそ・・・初期設定の変更すら利用するとかお前ゲームのバグ技を多用するプレイヤーか!」
「魔王ちゃん、そういのはプログラマーが使ってくださいって言ってるのよ」
「んなわけあるかッ!」
ドスボゴォォォッ!
「@あぁべ.vds:@fwe-91あ3#~ッッ!!」
必死に抵抗する魔王に強烈な腹パンチをぶちかます。
今度はもう声にならない叫び声がする。
大丈夫だろうか、これいろんなところから怒られないだろうか。
主にパクリ元から。
「・・・さっきの一撃で気絶しちゃった」
軽く雑にその辺に魔王を放り投げる。
「あいつ、またロクに見せ場もなく気絶したぞ」
「一話と三話よりはあったろ」
佐々木、アイツはそういう出番じゃなくて、自己紹介とかしたかったんだぞ。
「鈴木です(ノルマ達成)」
と、くだらない雑談をしていた時だった。
辺りを見渡して、こちらに人がいることに気づいた。
そしてゆっくりと近づいて、こちらに声をかけてくれた。
「うちの下僕がごめんなさい、壁壊しちゃって」
「いえ、ありがとうございます」
「・・・?」
あ、思わず変な返しになってしまった。
「ぷっぷくぷ~!勇者様それ返しになってないでrk」
ドグシャァァァッ!!
「ン゛ヘ゛ォ゛ッ゛!!」
クソ妖精が煽って来たので勢いで後頭部を掴み畳に叩きつける。
「妖精シャァァァァアンッ!!まだ一言しかしゃべってないのにィィ!」
「佐々木、妖精は滅ぶべきだと思う、ていうか一話に5人は多すぎる」
「わかる、3人くらいで話すのがわかりやすいわ」
「君たち血も涙もないな!」
佐々木、人生とは非情でそして無情だ、クズと共存できる世界などありはしない。
「・・・妖精に魔王」
「・・・?」
突如、こちらを見て真桜と言っていた人物がこちらを見る。
「この流れ、貴方も異世界人ね」
「あ、わかるんだ」
「そりゃ、魔王なんかがいればね」
なんと物分かりのいい若者・・・たぶん言うほど歳離れてないだろうけど。
流石にライトノベル、アニメ、漫画、ゲームで散々異世界転生と現代入りが流行った地球。
すぐに魔王も妖精も受け入れられるあたり、順応性が高い。
と、こちらに話しかけてくる真桜さん。
「貴方は・・・勇者って言ってたわね、この魔王とは因縁?」
声を出せばなんと綺麗で品のある声、ゆったりとしているはずなのに。
その上品さは天下一品ではなかろうか。
「えっと・・・その、魔王とはなんか向こうではやりあった仲です、異世界では俺が勝ちました」
「そう、まあ確かにクソザコナメクジだったけど、向こうでもそれは変わらなそうね」
「まあ、魔王に負ける方が難しかったというか、弱すぎるというか」
ここの世界の一般人にフルボッコにされるくらいに弱いんだから相当弱い。
魔王、こんなところでも死んでしまうとは情けない。
「ところで勇者さん、貴方名前は?」
「あ・・・アダレットです、アダレット・クエスト」
「・・・クエスト?」
「あ、苗字です・・・その、親がドラゴンとラブって言います」
「クッ・・・」
ん、今なんか笑われた?
ちょっと下向いてわかんかなったけど。
俺はただ、たどたどしく話してしまうばかりだ。
「おいおい、勇者くん、ボクには苗字も教えてくれなかったのに美人のお嬢ちゃんには教えるのか、じゅうべえ・クエスト」
「それ、違う作品な、メガトンコインは売ったか?」
佐々木がわかりづらいネタを持ってくる、それ誰に伝わるんだ。
「ふふっ・・・」
またなんか笑ったような声が・・・気のせいかな。
と、気になって顔を見て見ても見た時には真顔そんな気配も感じない。
「変な人、貴方には迷惑をかけたからご飯用意しようと思うけど」
「(変な人認定されてしまった・・・)いただけるならぜひ」
「あ、俺も!さっきので完全に飯が吹き飛んだからな!」
「じゃあ、すぐに用意するわ」
自分の部屋にすぐに戻ってこの部屋を後にする。
いや、後にするって言っても今この部屋繋がってんだけどな。
「おまたせ、キノコ鍋よ」
『(マジか)』
エリンギ、しいたけ、なめ茸、しめじ、まいたけ、きのこだらけだな。
いや、きのこ鍋なんだけども。
「キノコ好きなんですか?」
「たまたま、今日の晩御飯はキノコ鍋だったのよ」
「種類が豊富だし、量もあるから正直美味そうなのが困る」
俺も佐々木も思わず鍋からグツグツと煮てあふれる量のキノコを見て驚愕。
しかし、用意してもらえただけでもうれしいし、なにより熱々。
さっそく、ちゃぶ台を持ってきて鍋を乗せて食べることにする。
「キノコって不思議だな、なんで菌から食べ物ができるんだろう」
「マタンゴも食えるらしいけどな」
「あれは食いもんじゃない絶対に食い物ではない勇者」
「佐々木がそういうなら間違いないな」
「鈴木です」
くだらんやり取りをしながら次から次へときのこを食べ続けていると真桜さんがこちらへ話しかけてきた。
「そういえば、貴方達ってどこで知り合ったの?」
「あー・・・それは」
俺が話をしようとすると佐々木が話に割って入る。
「なんか、道端で妖精と話し合いしてたの見かけて面白そうだから拾った」
「なんて突発てきな・・・」
「まあ、助かった」
雑だけど、まったくもって間違った情報でないのが悔やまれる。
「真桜さんは・・・なんで魔王を?」
俺も気になったので真桜さんに質問すると、静かに口を開き答える。
「そうね、私もなんとなくって言いたいけど・・・」
「違うんですか?」
「部屋に振って来たのよ」
「ダイレクト不法侵入・・・」
「あとちょっとで書き終わるレポートをこいつは台無しにして、私の人生に支障を与えた、その罰として私は謝るなら許すと最初は提案したが、このクソッタレは抵抗してきたので、この手で肉塊にしてやったのよ」
「え、えげつねぇちゃん・・・」
佐々木はただひたすらビビっていた。
あまりにも血なまぐさい話に対して、彼女は笑っていた。
不気味に微笑み、楽しそうにしていた、それがまるで最高の至福だと言わんばかりに。
「・・・引いちゃった?」
俺はにやりと笑う彼女に対してたった一言述べた。
「・・・かっけぇ」
「は?」
その俺の言葉を聞いた真桜さんはただ困惑していた。