表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッセイ  作者: 鰯田鰹節
4/5

偏食の小さな友だち



 ある日、近所の中華料理屋さんで、ごはんを食べることになった。いつ前を通っても、そこまで賑わっていないお店である。それでも、一応、予約の電話をすることにした。

 ープルルルル…。ガチャッ…。

電話は通じた。ただ、日本語が通じなかった。仕方ないので、中国語で予約を完了させた。

 中国語で、「いい?」と確認したい時は、「OK?」と言う。日本語の「ぉk?」と同じ発音だと思う。とっても早口で言う…みたいな感じ。

 お店は、ひまだったらしい。

「予約の日も時間も、まじでいつでもいい。

あと、何人でも可。なんなら、今からでもいい。

どうする?」

と言ってくれた(笑)

 いや、うん、今から…は、こっちが集まれないんだ(笑)あの…ホントありがとうございます(笑)

 OKの連発。愉快な電話であった。


 予約しておきながら、私は食に無頓着な人間だ。店員さん。すまん、許せ。

 なんでって、まず、『咀嚼する体力』がないのだ。よって、もっと色々食べたい…という願望が生まれない。

 また、美味しそうな物や記事を見るだけで、食欲が満たされてしまうタイプだ。

 単純に、時間がないというのもあるかもしれない。特に仕事の日は、お昼ごはんの時間が上手く確保できない。

 かと思えば、周りにはきちんとお弁当を注文したり、買ったり、持ってきたりして、食べている同僚もいる。…ということは、私の要領が悪いのか。

 でも、食に貪欲でない真の理由は、

①死んじゃうのかなって目に遭ったこと。

②周りに死が溢れていたこと。

これらが大きい気がしている。

 「もし、あと何回かしか、ごはんが食べられないのなら…?

なんとなく物を食べるのは、もうやめよう。

食べたいもの、栄養があるもの、食べてよかったと思えるものを、必要な時に必要な分だけ食べよう。」

と、真剣に心に刻んでしまった気がしている。

 『真剣さを捨てれば、楽に生きていける。』

とある小説に、こう書いてあった。この言葉は、私は、真理だと思っている。

 ーお腹がいっぱいになるのなら、本当に心や体が必要と思うものを摂取しよう。

そう、どこかで、『真剣』に決意してしまった…?


 しかし、上のものを含め、この世にある真理の全部をぶっ飛ばして、もはや「なんで生きてるの?」と恐怖すら覚える存在がいる。エーちゃんである。エーちゃんは、すごい男の子だ。

 何がすごいって、彼は、基本的にチョコレートしか食べない。いや、ホント…!

 最後に会えたのが3年くらい前だが、記憶にある限り、私の見たエーちゃんは、ほぼチョコしか食べていない。もしくは、アイス…?

 3年前は、まだ幼稚園児だった。体は小さくて華奢だった。お肌は真っ白で、髪の毛が真っ黒だった。少し人見知りだった。仲良くなると、たくさんおしゃべりしてくれて、とてもかわいかった。

 かわいいんだけど、彼は、チョコばっかり食べていた。それも少し食べて、お腹いっぱいと言っていた。

(え? 大丈夫…? )

私は不安に駆られた。

(もしかして、この子の体、チョコでできてる…!? )


 エーちゃんのハテナなところは、たこ焼きパーティーで大々的に披露された。彼は、たこ焼きではなく、やはり、チョコを食べた。なんでだよ。

 私は、このままでは、エーちゃんの脳みそ(も)チョコレートになっちゃうのではと心配した。

 結論、全然そうはなっていないんだ、これが…!!

 実は、エーちゃんは、出会った時、すでにスーパー幼稚園児だった。10回以上連続で神経衰弱のカードを当てたり、地理や科学技術に興味を持って自ら学んだり…。興味の範囲と知識理解のレベルがパない子だった。語彙も豊富だった。

 私の説明力が低くて、伝えられないのが悔しい。ただ、断言できる。彼は、子どもという枠に、全然はまらない。間違いない。見た目は子どもで、頭脳が博士。ぶっちゃけ、賢すぎた。

 おおらかで優しい、人格者のご両親が、彼に愛を与え、好きなだけ学ばせた。何かを教える時はきっちり教えて、危ないことは理由も同時にちゃんと説明していた。その上で、エーちゃんに判断させていた。

 遊ぶ時は、博物館と同じくらい、釣りや川遊び、キャンプなどにも行っていた。エーちゃんは、自分の目で見て、手で触って、学習をして、伸び伸び育っていったようだ。

 最新の情報だと、将棋をやっているらしい。あの、フジイくんのやっている将棋を…!?

 エーちゃんは、頭が良い上に負けず嫌いの頑張り屋さんなので、極める可能性がある。いつか、プロになって、フジイくんと対決するかもしれん…。


 ご家庭で、ちゃんとお野菜や炭水化物、タンパク質も食べていただろうとは思う。一瞬、外食でパスタを食べているのも、見たは見た。

 今はもう小学生で、食べられるものも増えたはずだ。お父様にお聞きしても、「…チョコです。」と返ってはくるが、さすがにチョコ味のパンとかは食べているだろう。

 エーちゃんは、語学習得もスッとできるタイプの気がする。うちの近所の中華料理屋さんのように、パーッと外国語を話してくれる場所があったとする。おそらく彼は、聞こえたままに覚えるんじゃないか?

 会いたいな。

 偏食の小さな友だちのお話である。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  時々偏食がひどい子っているけど、この子もなかなかですね。でも、鰯田さんの記述を見るだけで天才っぽいので、それこそ何かを極めそうな気がします。棋士なんか対戦中脳の栄養として甘いものばっかり…
[一言] 何故作者様の周囲には危うい人が多いのか 読んでいて心配になってきます 作者様自身も、本当に「いのちをだいじに」でお願いします 「仕方ないので、中国語で予約」とか恐ろしいフレーズがさらっと……
[良い点] チョコばっかり食べてる天才君。将来が楽しみですね。歯磨きは気を付けないとね(*^^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ