死神の怒り
女性が目を覚ますと見慣れないアパートの一室で女性は縛られていた。
「まったく、あの女の家族がこんなことをやるなんて、台無しよ」
別室から女性?の声が聞こえる。
「まったくだ、どうする?」
「どうするもこうするもないわ、決まっているでしょう」
「違う、違う、殺し方」
「通りすがりの少年を刺した後悔で自殺にみせかけるか?」
「必要ない、いたぶって殺す。せっかく名探偵君がやる気を失くしたのに…また余計な火をつける原因になりかねない。なんてね、そんなのは建前よ」
「はいはい、それじゃあ、好きにやりなさい、無理はしちゃだめだからね」
「わかってる」
女性と男性の声少なくとも3人程はいる。
目隠しをされているため顔はわからない。
右手の爪に何かが触れたのがわかった。
それは爪を挟んでいく。勢いよく爪が引きはがられた。
「ぎゃああああ」
女性は悲鳴をあげる。
「まだ1枚目だよ。次は人差し指」
女性は悲鳴をあげ続ける。
やっと右手が終わった。
「もう、やめて、許して」
「はぁ?許すわけないでしょ、次は左手、そして、右足、左足まだ15枚も残ってま~す」
女性は絶望を心のそこから感じた。
「もういやだ、殺して、殺して」
頬を犯人の手が伝う。
「いいよ、殺してあげる、でも苦しんで苦しんで死んでいくのよ」
「いやぁぁぁぁ」
また1枚爪が剥がされる。
「そうだ?何で彼を殺そうとしたの?」
「あの男、ぎゃあああああ」
また爪が剥がされる。
「あの男って言い方はないでしょう」
「彼が、真奈美と接触してるのを聞いて彼氏かなってほほえましく見てたのよ」
「それで?」
「ある日、真奈美が死ぬ前に彼に送ってるメールを覗いちゃったの、ぎゃああああ」
まただ。
「意識を失っちゃダメだよ。姉妹でもメールを覗くのはよくないね」
「あの子、私が後ろから覗いているのに気づいてなくて、いつもの真奈美じゃなくて」
「うん、うん」
「だから、覗いたのよ。メールの文章も変だった。まるで暗号のようだった」
「その暗号は解けたの?」
「ええ、単純だった。縦読みよ」
「へぇ、何て?」
「たすけてころされる、そう読めたわ」
「それを彼に送ろうとしてたの?」
「でも私に気づいて、画面を落としたから送ってないと思うわ」
「そう、だとしたら送り先の彼に助けを求めただけじゃない。なのになんで彼が犯人なの?」
「真奈美が死んだあと色々調べたわ、この連続殺人の被害者は多かれ少なかれ彼と接触している人ばかりが殺されている、ぎゃあああ」
「すごいね、そこまでたどり着いたんだ。他には他には?」
もう何枚の爪が剥がされただろうか。
私は涙とよだれで顔がべちゃべちゃだ。
こんなときまでなにをきにしているんだろう…
「ぎゃあああ」
「他には?って言ってるでしょ」
「か、彼が犯人じゃなくても彼を殺せばこの殺人のループが止まると思ったのよ」
「なるほど、それはなかなか面白い話だな」
「全然面白くないよ、だまってて」
「おやおや」
「でも、皮肉だね。彼に接触した人間は殺されている、そこまでたどり着いたのに…自分からそのループに入っていくなんて」
ああ、そうだ。私は自分から彼に接触してしまった。
「じゃあ、死ぬ前にループの真相を見せてあげる」
私の目隠しがとられていく。
「え、あなたが…うぐぇ」
「酷い断末魔だね」
女性は首から血をボタボタと流し息絶えた。
「じゃあ、後始末はよろしく」
「はいはい」
「気をつけてな」
犯人の1人は部屋を出ていった。
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