予期せぬ事態
川口さんが死んでから1ヶ月が過ぎた。
あれから僕は学校ではいないものとされた。
別にいじめにあったわけではなく。触れないようにしているだけだ。
そしてあれから殺人も起きていない。
クラスメイトの疑念はますます僕に向かう。
そうは言っても僕は犯人ではない。
そんなある日の朝
「沙夜、やっと今日退院よ」
「ほんと、母さん」
「うん、まだ左手に後遺症はあるけど、退院の許可がおりたわ。今日はご馳走よ」
「うん、僕も早く帰って手伝うよ」
「嬉しそうね、瑛人」
「そりゃそうだよ」
沙夜が帰ってくる。
これでやっとつまらない生活ともおさらばだ。
何を話そう。
事件のことなんてもういいや。とにかく楽しい話をたくさんしよう。
僕は機嫌良く学校に向かった。
前から女性が歩いてくる。何だか勢いがいいな。
僕は本能的に道の端によろうとした。
だが、その女性は僕にドスンとぶつかってきた。
「えっ?」
「真奈美の敵」
そういって、女性は走り去っていった。
「なんだよ、敵って、え」
脇腹に激痛が走った。
手で脇腹を触る。
手が真っ赤に染まっている。
「えっ、え、ちょっ、な、なんだよ、これ」
僕はその場で膝をつきながら倒れた。
通行人の悲鳴が聞こえる。
真奈美の敵…どういう…
そこで僕の意識は途絶えた。
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