夢と現実と
僕は必死に逃げていた。
何から逃げていたのかはすでにわからない。
何とか逃げ切れたか。
家まであと少しだ。
家に帰れば、母さんと沙夜が出迎えてくれる。
あそこまであと少し。
背後から何かが迫ってくる。
何としてでも逃げなくては…
相手を殺してでも…
僕は後ろを振り向くが誰もいなかった。
何から逃げていたんだ。
僕は部屋の鍵をあける。
静かだ。
食卓に2人はもう先に座っているようだ。
僕は持っていたカバンを落とす。
そこには首から上がない母さんと、沙夜の死体があった。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
僕はガバッと起き上がる。
夢?ここはどこだ?
「大丈夫ですか?」
看護師が僕の声に気づいたのか慌ててやってきた。
「ここはどこですか?」
「ここは病院です、あなたは学校で意識を失っているところを発見されて救急搬送されたんですよ」
「そうだったんですか」
ふと記憶がよみがえる。
川口さんの死体…
うっと吐きそうになり、看護師があわてて袋を渡してくれた。
胃の中のものが全て出た。
「今、先生とお母様を呼んできますね」
どうやら沙夜が入院している病院らしい。
ひどい夢だ。
いや、夢でよかった。
もうこの事件を追うのは止めよう。
これで勘弁してくれないか?
頼むよ
僕は誰にお願いしているのだろう。
もう限界だ…
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