死神の挑発
「何あれ?」
「動物の死骸だと思う、首がない」
「え、それって」
「わからない、模倣犯かもしれない」
どこかでみたが、通常猟奇殺人者は動物を殺してそれに飽きたらず人に矛先が向かうと聞いたことがある。となるとこれは逆だよな。
「ねぇ、これってもしかしてさ、これ以上踏み込んだらこうなるよっていう犯人からのメッセージじゃない?」
確かにその可能性は充分考えられる。
「ねぇ、南川君」
「あ、ごめん。衝撃で言葉が出なかった」
「でも、仮にメッセージだとしたら…僕らの会議を聞いてる人間じゃないと無理だよね…」
「そ、そうだよね」
自分達のクラスに犯人がいる…そう考えると一気に恐怖が増す。
「ねぇ、私怖いよ」
思わず抱きつかれて僕は固まってしまった。
心臓の鼓動が早くなってるのがばれなきゃいいけど…
「と、とにかく一旦教室に戻ろう、もしかしたら犯人が近くにいるかもしれないから離れよう」
「そ、そうだね」
僕たちは教室に戻った。
戻らなきゃよかった…
そこには3人の首なし死体が丁寧に机に座らされていた。
「きゃああああああああ」
川口さんは悲鳴を上げて気を失う。
僕はあわてて彼女を支える。
僕は込み上げる吐き気を抑える。
ちくしょう、何でここまでするんだよ。
もうやめてくれ
悲鳴に気づいた教員達がやって来た。
その惨状に言葉を失う。
一人の女性教師はその場で嘔吐してしまっていた。
「警察だ、警察を呼ばなくては」
またあの刑事が来る。今回は第一発見者だ…逃げることは出来ない。ならば直接対決と行こうか…
僕は知らずうちにニヤリと笑っていた。
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