闇への手がかり
「沙夜、この事件は闇が深いみたいなんだ、あまり深く関わると危険らしい。思わず一緒につれてきちゃったけど大丈夫?」
「お兄ちゃんと一緒なら大丈夫だよ」
にこりと笑う。
僕が言うのもなんだが沙夜は美人の部類に入る、しかし僕以外の他人にはぶっきらぼうなため、友達はいない。いつもスマホでゲームをしているのが心配だ。
図書館に着いた。
「あの、利用はじめてなんですけど」
司書さんと思わしきお婆さんに声をかけた。
あれこの人…
「おやまぁ、こないだスーパーであった子達じゃないか、そこに名前を書いて好きに本を読みなさい」
「あの、こないだの話、うちにも不幸がおきました」
沙夜がお婆さんに声をかけた。
「そうかい、それは残念だったね」
お婆さんは他人事のように答えた。
ちっと舌打ちをして沙夜はこの町の資料を探し始めた。
ない、どこにもない。
やはりこの町は隠蔽されている。
町の人たちすべてがグルなのか?
「お兄ちゃん、これ」
沙夜が小声で本を差し出す。
【安斉山の歴史】
そのままのタイトルだ。しかしこれを借りたら危険な気がした。
僕はこっそりとバックにしまった。
「お兄ちゃんなにやってんの」
「静かに、これを借りたら危険な気がするだから…」
「わかった、何か適当なものを借りてカモフラージュする」
「推理小説かい。いい趣味だね。お嬢ちゃん」
「昔から好きなんです。悪は許せないので」
「お兄さんは借りなくていいのかな?」
僕はビクッとした。
「はい、今日は妹の付き添いできたので」
「そうかい、そうかい。また興味があったらおいで」
僕たちは足早に図書館をさった。
お婆さんが本棚の方に向かう。
「おやまぁ、これはなかなか」
お婆さんは不敵な笑みをこぼす。
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