かもしれない話
次の日僕はクラスに入る。
「おはよう」
と言えばおはようと帰ってくるくらいには団結力が深まった。
「ねぇ、南川君、昨日かっこよかったよ」
突然女子に声をかけられた。
「えっと」
「川口、川口梢です」
ムッとしながら自己紹介をしてくれた。
「ああ、ごめん。人の顔と名前を覚えるの苦手で」
印象はショートヘアーで活発な子だなと感じた。真奈美さんとは対照的だ。けど可愛いと言われる部類には入るのだろう。
「まぁ、いいけど。あれからさ少し私も事件のことまとめたんだけどさ。今日帰り予定ある?」
「特にないよ」
「じゃあ、放課後私がまとめたこと伝えるね」
「え、みんなの前で言った方が」
「まだ、みんなに言うほどまとまってないからとりまリーダーに言おうと思ったのよ」
「リーダーなの。まぁいいや。じゃあ放課後に」
放課後になり、川口さんが隣の席に座ってきた。
「私なりにまとめたことなんだけどさ」
突然とばかりに話を始める。
「5年前からこの連続殺人は起きてるでしょ」
「そうだね、はじめは高齢者を狙う犯罪かと思ってたけど」
「そう、でも3年前にいきなり北條の妹が殺されたでしょ、あと今年に入ってからはあなたの…お父さんと、北條だったり、公園で殺された大人だったり、目的が変わってきた風に思うのよね」
「確かにそうだね」
「でもさ、犯人は警察官でした。で一旦終わったじゃない、でもまた始まった。次は病院、つまり、警察にも病院にも手を下せるのは政府の陰謀なんじゃないかって」
「そうなのかな」
急にスケールの大きい話しになって僕はなんて言えばいいのか戸惑う。
「陰謀かは置いとくけど犯人は複数いるのは間違いないわよね」
僕はドキリとした。その中の1人が僕の母さんかも知れないなんて口が裂けても言えない。
「ってなんも話まとまってないわね、私」
気づいてくれて良かった。
「でも、こういうかもしれない話は意外と犯人に繋がる可能性があるからいいと思うよ」
「優しいのね、南川君」
外がなんだか騒がしい気がした。
「何か外が騒がしくない?」
「そうね、何かしら」
僕はまた胸騒ぎを…いや。またかと思いながら川口さんと騒ぎのところへ向かった。
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