目覚め
「瑛人!!」
「母さん、まただ。また同じ殺され方を」
ふと振り替えるとまたあの刑事が近づいてくる。
「とりあえず、沙夜のところにいこう」
「え、ええわかったわ」
僕らは足早に沙夜のところへ向かう。
扉を開く。
沙夜は目を覚ましてベッドから状態を起こしていた。
「沙夜ちゃん、目を覚ましたのね」
「うん、なんかうるさいから」
「よかった、無事で」
「お兄ちゃん…無事じゃないわよ」
沙夜は包帯まみれの左手を出す。
「いや、無事ではないけど、今は無事だから…」
「何言ってるのかよくわからないわ」
「実は今」
「瑛人」
母が肘で僕の脇腹をつつく。
確かに今言わなくてもいいか…
「て言うか、お母さん。正気に戻ったんだ」
「ええ、貴方が事件に巻き込まれたって管理人さんから聞いて、正気に戻ったのよ」
「そう、よかった。で、病院の騒ぎは何よ」
「あ、えっと」
僕は母さんの顔を見る。
母さんは諦めたような顔をした。
「実は院内で首なし死体が見つかったんだ」
「え、そうなの。また…今度は誰?」
「沙夜の担当看護師さんだった…優しくて良い人だったのになんで」
「そうなんだ、でも今朝だよね。殺されたとしたら夜の内に殺して遺体を置いたってことでしょ?」
「たぶん、そうだとは思うけど」
「ちょっとふたりとも、今は推理なんてしてる場合じゃないでしょ」
母さんが叱責する。
「そうだな、沙夜。今はゆっくり休んで」
「可愛そうな看護師さん」
沙夜はぽつりとつぶやく。
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