表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引っ越した町は悪に満ちている  作者: まなた
瑛人編
85/178

母への疑問

「ただいま」


「お帰りなさい、瑛人」


「先に病院を出た割には遅かったじゃない」


「うん、途中で管理人さんに会ってちょっと立ち話してたからさ」


「あら、いつの間に社交的になったのね」


「いつまでも子供扱いしないでよ」


「今、ご飯作ってるから待っててね」


僕は自分の部屋に入って、安田刑事が残した写真を再度みる。


この写真に写ってる子は母さんじゃないと言っていたけど、みればみるほど母さんにしか見えない。


僕は今まで起きた事件の被害者の共通点を考えてみた。


年齢も性別もバラバラ…親戚同士でも顔馴染みでもない。父さんに至っては引っ越しの初日に殺されている。


「瑛人、ご飯できたわよ」


僕は食卓に座った。


「ねえ、母さん。母さんの両親てどんな人だったの?」


「どうしたの?急に」


「いや、深い意味はないよ、ただの興味」


「あなたが小さい頃に話したことがあったけど、私が10歳の時に交通事故で亡くなったわ。お父さんは昔かたぎの頑固者って感じで、怖かったわ。でもその手綱を握ってたのはお母さんだったわね。なんだかんだ二人とも優しかったわよ」


「そうなんだ、母さんは事故に遭わなかったの?」


「私はその時は家に留守番してたの、まさか突然両親が死んじゃうなんて思ってもいなかったわ」


「そのあと母さんはどうしたの?」


「親戚もいなくてね。児童施設に入ったわ」


「それ初耳だ」


「そうだったかしら?でもね。いい施設だった。ちゃんと自立することもできて、社会人になって、お父さんと出会って…」

母さんは涙を浮かべる。


「ごめんなさい、頭は治ってきたけどやっぱり辛いわね」


「僕の方こそごめん」


「瑛人、あなたはお父さんの分まで強く生きるのよ」


「うん、約束するよ」


食事を終えて僕は部屋に入る。


児童施設…はじめて聞いたな。


そして、両親の事故死。母さんが10の頃だから、30年前か…

母さんの言うことは特に違和感はない。でもやっぱり疑ってしまう。30年前の交通事故なんてそんな記事残ってる分けないよな…


僕はスマホでそれらしき検索ワードを入れるが出てくるわけもない。事故現場がどこかもわからないし、30年前の事故だ。無理に決まってる。


僕は携帯を置いて、そのまま眠りについてしまった。


翌日、惨劇が起きることを知らずに…


お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ