死神の覚醒
もう一度、母さんの部屋に行ってみるか…
いや怖くて無理だ…
とりあえず、沙夜のところに行かないと、もしかしたら母さんに殺されてしまう。
僕は自転車を必死にこいで病院に向かう。
30分程して沙夜が入院している病院についた。
すっかり汗だくだ。
「沙夜」
僕は個室になっている病室を勢いよく開けた。
「あら、瑛人。来たのね」
「はぁはぁ」
「そんなに慌てて、元気じゃないの。もしかして、お母さんが沙夜を殺すとでも思ったのかしら?」
「…」
「冗談よ、冗談。あなたの冗談に付き合っただけよ」
「あら、お兄さんもいらしたんですね。まぁすごい汗。今タオル持ってきますね」
看護師さんがタオルを持ってきてくれた。
「すいません」
僕は今更ながら汗だくなのが恥ずかしくなった。
「あちらの方は?」
「ああ、沙夜の担当看護師さんだよ。毎日僕がお見舞いに来てるから、少し仲良くなった」
「若いのにしっかりしてそうな子ね、安心だわ」
「そうだね、まだ20前半とか言ってたかな」
「あらやだ、瑛人。もしかして惚れちゃった?お付き合いはまだ早いわよ」
「そんな、わけないだろ」
僕はタオルで顔をおおう。
確かにあの看護師さんと話している時は心が癒されているのは確かだ。
しかし、こんな話を母さんとしている辺りやっぱり母さんは犯人じゃないのか。あの血はただの汚れだったのかも知れない。僕はそう思いたくなってきた。
そうなるとあの写真に写っていた、夫婦あの二人が犯人か?
あの写真こそヒントなのだろう。
しかし、僕はこの時気づいていなかった。
また死神が目覚めていたことを
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