死神との生活
部屋に逃げ込んだはいいが、これからどうしよう。
もし母さんが本物の殺人鬼なら僕だってこのまま殺される可能性がある。
僕は恐怖で体が震える。
コンコン扉をノックする音がきこえる。
殺られる。
「瑛人、沙夜のところに行ってくるから、お粥作っておいたからね」
僕は返事をしないで寝てるふりをした。
ガチャ、母さんはまた出掛けていった。
怖い、怖くてもう一度母さんの部屋に入ろうとは思えなかった。
でも、あのロープと血は…
ここで誰かを監禁していたのか?
僕は記憶をたどる。
ある日のニュースだ。そうだあの…
「安斉山高校で女子生徒が屋上より落下しました。なお死因は落下によるものではなく、死後2~3日経過していたとのことです」
そうだ、あの北條美咲のニュースだ。あのあと僕はしばらく癒えにこもっていたが、そのニュースだけはチェックしていた。そう、北條美咲は行方不明になってから、あの飛び降りの数日前までどこかに監禁されていたんだ。
あそこだったのか…ロープと地面の血、そして狂ったはずの母がある日突然僕たちが作り置きしたご飯を部屋に持ち込むようになった…
あれは北條美咲が飢え死にしないために…
まずい、沙夜が殺される。
いや、なぜ母さんは僕を殺さないんだ?
くそう、もう頭がおかしくなる。
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