血
「じゃあ、沙夜のお見舞いにいってくるわね」
「うん、僕は今日は体育があって憂鬱だよ」
母さんと他愛もない話をして僕は学校に行った。
ふりをした。
物陰に隠れて、母さんが出掛けるのを待った。
母さんの部屋に何か証拠があれば…
しばらくすると母さんが家から出てきた。
よし、いや落ち着け。ちゃんと病院の方向にいくまで待たないと。
すると母さんは車に乗って出掛けていった。
数分待って僕は家に入った。
母さんの部屋にすぐに入る。
落ち着け。落ち着け。母さんはすぐには帰ってこない。
あれだけ錯乱していた母さんの部屋はとてもきれいになっていた。
やはり錯乱していたのはふりだったのか…
何か証拠は…
僕は部屋をくまなく探すがなにもみつからない。
押し入れ…
僕は恐る恐る押し入れを開ける。
「なんだこれ?ロープか?」
押し入れをよくみると血のような後があった。
ガチャガチャ、家の扉が開く音がした。
え、もう帰ってきた。やばい。
「あら、瑛人?帰ってきてるの~?」
どうする…隠れるにも玄関に靴が置いてあるからいることはばれている。
ならば…
僕は母さんの部屋から出てきた。
「あらどうしたの?」
「いや、お腹痛くて帰ってきたんだけど、母さんの部屋にゴキブリが入っていくのが見えて」
「え、やだ。退治してくれた」
「うん、ちゃんと退治した」
「そう、それならいいんだけど」
「じゃ、じゃあ僕は部屋で寝てるね」
「わかったわ」
ごまかせたのか…
「あらあら、瑛人ったら」
クスクスと母は笑う
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。