78/178
予想外
病室の扉が開いた。そこに立っていたのは…
「母さん…どうして」
「どうしてって、沙夜のお見舞いよ。へんなこと言わないで。あなたも疲れているでしょう」
「ま、まあね。でも、母さんずっと家に閉じ籠ってたから大丈夫なの?」
「沙夜がこんなになったのにいつまでもおかしくなってられないわ、母さんしっかりしなきゃ」
「そ、そう。そうだよね」
「まだ目を覚まさないのね、かわいそうに、左手はどうなのかしら」
「リハビリをちゃんとすればって言ってたけど、まだわからないよ。目を覚まさないから」
「そうなのね、どうしてこんなことに…」
「どうしてって…」
母さんは沙夜の頭を撫でる。
触るなよ…
どうしてあんたが…
どういうことだ?
だってあんたは…
あんたは安田刑事が残していた写真に写っていた…
あの小さい女の子…
そう、あんたは…
犯人のはずだろう…
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。