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迷い
おばあさんとの会話を終え、僕は沙夜の元に向かった。
沙夜はあれから目を覚まさない。
命に別状はないそうだが…
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
あの刑事とどう接触すればいいのか。
この手帳を手に入れたと言えばすぐに来るかも知れない。
でも、そのあとどうする。無理やり捕まえるか。
だめだ相手は刑事だ。力ではかなわない。
沙夜どうすればいい。
結局あの刑事が犯人という証拠もないし…
何か何かが足りない。
「あなたはもう気づいているんじゃない」
「えっ」
頭の中を誰かの声が聞こえた気がした。
そうかもしれない…でも証拠だよ。
その証拠がないとダメなんだ。
でもその証拠を見つけたら…
どうすればいい。
沙夜、お前は今何を考えている?
お前ならどうする?
僕は目が覚めない、沙夜に問いかける。
病室の扉が開いた。
僕は予想外の人物に体が硬直した。