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恐怖
「で、君はそんな格好で妹さんと何をしていたんだ」
取調室で松田刑事が聞く。
「犯人から電話があったんですよ、公園に来いって」
「なんだと、男か?女か?」
「声は変えててわかりませんでした、そしたら沙夜が現れたから」
「犯人だと思ったと…」
「ちょっと乱暴すぎないか?妹さん今頃ショックで辛いと思うぞ」
「すいません、僕はなんて酷いことを」
「謝るなら妹さんにな」
その後、一時間ほど取り調べをされた。
「じゃあ、送っていくよ。妹さん帰ってきてたらちゃんと謝るんだぞ」
僕は黙ってついていく。
あの取っ組み合いの最中に奪った、スマホを沙夜は見ていた。
「ダメだ、ロックがかかってる」
本当に殺されるかと思った。全く壊れるのもいい加減にしてほしい。
お兄ちゃんは帰ってくるの?
私は恐怖を感じた。
早く犯人を捕まえれば元のお兄ちゃんに戻るの?
このスマホさえ見ることができれば…
早く、帰ってくる前に…