壊れた日常
僕はベッドに横になった。
もしかしたら犯人がまだ近くにいるかもしれない。その恐怖でとても寝れることができなかった。
それにあのおぞましい光景を思い出すだけで何度トイレに行ったことか。
トントンドアがノックされる。
僕は思わず身を構える。
「お兄ちゃん、入ってもいい?」
沙夜か
「いいよ」
「お兄ちゃん、今日一緒に寝てもいい?」
そうだよな、この子はまだ14歳だ、あんなことがあったんだ怖いに決まっている。
「いいよ、おいで」
僕がしっかりしなくちゃ。
遠くからは壊れた母の鼻歌が聞こえる。
気づくと朝になっていた。
あんなことがあったのに意外と寝れるもんだな。
沙夜もすーすーと寝息を立てている。
僕はキッチンに向かった。
「あら、瑛人、ご飯できてるわよ、もうお父さんたらさっさと仕事にいっちゃうんだもん」
ご飯としてだされたのは黒こげの肉だった。
母さんは完全に壊れてしまっている。
「お兄ちゃん、学校に行こう」
沙夜が小声で言う。
「でも、こんな母さんを放って置けないよ」
「行かないとダメな気がするの、お願い」
「わ、わかったよ。母さん僕たち学校に行くね」
「ええ、いってらっしゃい。今夜はごちそうよ」
僕たちはそそくさと家を出た。
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