終わりたかった
「また君か…」
「あ、刑事さん」
「松田だよ、君僕の名前覚えてないでしょ」
刑事は笑いながら言う。
「あ、すいません」
「とりあえず、そこから離れてもらっていいかな。あと警察で事情をききたいんだけど」
「それは強制ですか?」
「警察は信用できないか…まぁ仕方ないよね。強制ではないよ」
「じゃあ、僕は行きたくないです」
「わかった、でももしあの死体について君と関わることがでてきたらその時はよろしくね」
僕はメールの件を話さなかった。
なぜか?警察が信用できないからだ、いやもう誰も信用できない。
北條美咲は犯人ではなかった。
今突きつけられた事実はそれだけだ。
彼女の遺体の指は切断されていた。
でも彼女の遺体は腐敗してなかった、むしろ最近になって殺されたようだった。
冷静に死体の分析をしている自分はもう正常ではないのだろう。
「お兄ちゃん」
沙夜が駆けつけてきた。
「北條美咲が、死んだって本当?」
「ああ、僕の前に学校の屋上から落ちてきたよ」
「お兄ちゃん…変だよ。何をそんな冷静に…」
沙夜が後ろに後退する。
「僕じゃないよ?僕は誰も殺していない」
「わかってるわよ、お兄ちゃんが犯人なんて疑ってないよ」
「でも小説とかでよくあるんだよ、事件の捜査をしていた探偵が犯人でしたってね」
「やっぱりおかしいよ、お兄ちゃん」
「沙夜、僕は何を信じればいい?誰を信じればいい?」
沙夜は言葉に詰まる。
「僕は僕自信も信じられなくなってきたんだ、僕が気づかないうちにやってるんじゃないかって思うこともあるんだよ」
胸ぐらをいきなり沙夜が掴んで僕を壁に押し付ける。
「ふざけないでよ、いい加減にしてよ」
沙夜は泣きながら僕の胸ぐらを強くつかみ続ける。
苦しい、このまま死んでもいいかな、沙夜に殺されるならそれも本望かもしれない。
「おい、お前たちケンカか」
教師の声が聞こえた。
邪魔をするなよ…
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。