迂闊
「で、どうしたのよ。お兄ちゃん」
お風呂から沙夜が出てきた。
「ああ、目が覚めたら沙夜がいなかったから必死に探してたんだ」
「もう、ソファーでお兄ちゃんが寝てたから、その間にお風呂に入ってただけよ」
沙夜は呆れた声で言う。
「ごめん、不安になって」
「まあ、いいけどさ。あんまりデリケートにならないほうがいいんじゃない?」
「うん」
「あっ!!」
「な、なによ」
「そういえば、さっき母さんが家の鍵を開けてくれたんだ、しかもおかえりって普通に」
「えっ、そんなことないでしょ、今だって自室に籠ってるし」
「ほんとだよ、いつもの母さんに戻ってたんだ」
「ふーん、少し良くなってきたのかしら」
沙夜は信じてなさそうだった。
「とりあえず、お兄ちゃんもお風呂入ってきたら?私はどこにもいきませんから。なんなら一緒に入りますか?」
冗談めいた声で言う。
「ありがとう、先に寝てていいよ」
僕はお風呂に向かう。
「全く、迂闊ね…」
沙夜はポツリと呟く
湯船に浸かりながら僕はぼーっとしていた。
まるで呪いから覚めたように目が冴えてきた。
明らかに僕の行動は変だった。
何かにつ取り憑かれたように。
まさか呪い…そんなわけがない。
やはり、全てを解決するには北條美咲を探すこと。
僕は呪いからとき離れたように頭がスッキリしていく。
何としても手がかりを掴んでみせる。
真奈美さん…僕はもう迷わないから、必ずあなたを殺した犯人を見つけるから…
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