行方不明
僕はあわてて、外に出た。
「沙夜、沙夜」
まさか沙夜まで。
僕は呆然と立ち尽くす。
「おい、君どうしたんだ。こんな時間に」
「え?」
安田刑事の部下だ…名前は…なんだったか
「また、君か…どうしたんだい、慌てて」
「沙夜が妹が帰ってこないんです」
「えっ?、妹さんは何歳だい」
「14、中学2年です。今までこんなに遅くなったことはないんです」
「とにかく落ち着いて、俺も一緒に探すから」
「学校に行ったんですよ」
「学校か…」
あそこの学校では何人も死んでいる…沙夜
「この時間では探すのは無理がある」
「見捨てろってことですか?」
「そうじゃない、友達の言えとか知り合いの家とかにいるかも知れないだろう」
「あの子にはそんな友達はいない」
「沙夜が殺されてしまう、早く見つけないと」
「落ち着いてくれ、一度君の家に戻ろう、もしかしたら部屋で寝てるとかお風呂に入ってるとか」
「ふざけないでください、家中さがしたんだ」
「とにかく、家に戻るんだ」
僕は刑事の気迫におされて家に戻ることになった。
「もう、おしまいだ。沙夜」
僕は家のドアノブに手を掛けた。鍵がしまっている。
僕は慌てて外に出たからしまっているはずがない…
「どうした?」
「鍵がしまってるんです」
「開ければいいじゃないか」
「違うんです、僕は鍵をしめてないんですよ」
刑事はインターホンを鳴らす。
「はい、どちら様ですか?」
「か、母さん?」
「あら瑛人お帰りなさい」
鍵が開く。
「母さん、どうして?」
「どうしてって?」
母さんがいつも通りになっている。
「沙夜、沙夜はどこに?」
「沙夜?」
あの子ならお風呂よ。にこりと笑う。
なんだか嫌な予感がした。
「沙夜」
僕はお風呂のドアを勢いよくあける。
「きゃあー、何してんのよ。バカ兄貴」
よかった。
「よくないわよ、早く出てって」
「どうやら君の勘違いってことだね」
「す、すいませんでした」
「まぁ、いいよ。無事でよかったね」
刑事さんは帰っていった。
「母さん」
母さんは鼻唄を歌いながら部屋に戻っていった。
また、戻ってしまった。
一瞬いつもの母さんに戻った気がしたのに。
いや、僕が壊れているのか…
自分の精神がおかしくなってきている…そんな恐怖を感じた…