53/178
助けて
僕は翌日から学校に行くことを止めた。
「行ってきます」
「沙夜」
「大丈夫だよ、心配しないで」
僕は不安で仕方がなかった。
はぁ、ソファーで横になっていると、母さんが出てきた。
僕はぎょっとした。母さんは僕を気にせず、沙夜が作ったご飯を自室に持っていった。
すっかり痩せこけてしまったな、母さん。
母さんの部屋からはガタガタと不思議な物音がする。
錯乱状態はまだまだ続いているのだろう。
そうだ、病院に連れていかないと、いや僕がおかしいのかな
僕は目を閉じた。
真奈美さんと過ごした数日の記憶がよみがえる。
僕の頬を涙が伝う。
誰かこの苦しさから解放してくれ。
助けて、助けて
体がつぶれて無惨な姿の真奈美さんが近づいてくる
「助けて、南川くん」
「う、わあぁぁぁぁぁ」
ゆ、夢か。誰か助けてくれよ。僕は頭をかかえる。
時計を見た22時…いつのまにそんな時間に…
沙夜?沙夜は?
僕は沙夜の部屋を開ける。
いない、沙夜が…いなくなった。
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。