異変
「南川くん…」
いつの間にか僕の後ろに真奈美さんがいた。きゅっと僕のワイシャツを掴む。
「ねぇ、あれって、尚子、光希、弥生だよね?」
クラスメイトの名前は覚えていないがあの3人組のことだろう。
「みちゃだめだよ、多分被害者はその3人だと思う」
教員たちが慌てて現れて、生徒たちを引き離す。
しばらくして警察がきた。
「あれ?君は」
一人の刑事が声をかけてきた。
「あ、安田刑事の部下の刑事さんですよね」
「しーっ、今安田先輩の名前は禁句なんだよ」
それもそうか
「しかし、また君とこんな場面で会うとはね」
「ええ、そうですね」
この刑事の名前を思い出そうとしたがどうしても思い出せなかった。
「南川君、あの人と知り合いなの?」
「ああ、父さんが殺されたときに家にきたからね」
「あっ、ごめんなさい」
「大丈夫だよ、もう落ち着いてるから」
「お兄ちゃん」
沙夜が息を切らしながら走ってきた。
「首なし死体が出たって本当?」
さりげなく僕と真奈美さんの間に沙夜が入り込む。
「ああ、中等部にも情報まわってきたのか」
「うん、あれだけ大きい悲鳴が聞こえたらね。どんな感じ?」
僕は沙夜に被害者のことを簡単に話した。
「あの、南川くん…妹さん?事件の話なんてしないほうが」
「いいんです、私たちは被害者なんです。この事件は私にも知る権利があるんだから口出ししないで」
「ちょっと沙夜。ごめん、口が悪い妹で」
「ううん、ごめんなさい」
ちっ、お得意の舌打ちが聞こえた。
「やっぱりまだ事件は終わってなかったのか…」
「模倣犯…じゃあないわよね」
こんな悲惨な現場をみせられたが僕は途切れてしまった、犯人との線が繋がった気がして、テンションが上がっているのがわかった。
また、犯人を捕まえるチャンスが出来た。
沙夜が僕の異変に気付いたのか、僕の顔を見つめている。
それに僕は気づかないくらいにテンションが上がり続けていた。
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主人公の異変をどうとらえるべきなんでしょうね…