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引っ越した町は悪に満ちている  作者: まなた
瑛人編
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はじめてのデート?

結局、この美咲ノートを手に入れてからも何も進展はない。

そして人も死んでいない。


僕の身にも危険は起きていない。


やはり犯人は安田刑事…これで終わりか。


「お兄ちゃん学校」


「ああ、そうだな」


僕たちは母さんの食事を置いて出掛けた。


「あれから2週間たつけど何もなかったね、やっぱりあれは美咲の犯行ノートだったってことね。今頃捕まらないように逃げてるのよ」


「確かに、そうかも知れないな」

僕は気のない返事を返す。


ちっ沙夜の舌打ちが聞こえ、沙夜はスマホをいじり始める。


「歩きスマホするなよ」


「うるさいなぁ、私先に行くから」

早歩きで沙夜は行ってしまった。


僕は足取り重く学校に向かった。


教室に入って椅子に座る。


ぼんやりと授業をきいて、一人で昼飯を食べて、午後の授業を聞く…


そして下校時間


「ね、ねぇ南川君」

突然名前を呼ばれて僕は驚いて振り向いた。


クラスメイトの女子だ。ええと名前は…


「ど、どうかした?」


「もしよかったら、これからお茶でもどう?近くのファーストフード店で」


「え」


「あ、いやならいいの、ごめんね」


いや特に予定もないし


「あ、あの大丈夫だよ」


「ほんと、じゃあ行きましょう」

名前も知らない女子に連れられ僕は後を追った。


後ろでは女子グループがガッツポーズをしていた。

「上手くやれるかな、真奈美」

「告れるところまで行けるかしら」

「いや、まだ早いでしょ」


何か聞こえた気がしたが僕の耳には入らなかった。


ファーストフード店について、僕らはそれぞれ注文をして、席に座る。


「あの」

僕と彼女の声がハモる。


「あ、ごめん先にいいよ」


「え、あ、じゃあ南川君って趣味とかある?」

なんだ、この質問


「趣味か、小説読むのが好きかな」


「え、そうなんだ、ジャンルは?好きな本は?」

立て続けに質問が来て僕はおもわずたじろぐ。


「ミステリかな、特定の好きな作品ってのはないけど、それとごめん。僕クラスで一人でいることが多くてさ、クラスメイトの名前とか全然わからなくて…」


「あ…」

彼女はショックを受けた顔をした。


「ごめん」

僕はとりあえず謝る。


「いいの、私が一方的だった。じゃあ改めて自己紹介します、私は相良真奈美です。趣味は読書です」

僕は思わず、可愛いなと素直に思った。


ふと気づいたらさっきの女子グループ三人が近くの席にいた。


どのくらいの時間がたっただろうか、お互い好きな小説や音楽等の話をして、今日のところは別れた。


久しぶりに人と話したな。でも楽しかった。


僕は上機嫌で家に帰る。


「ただいま」


「遅い、今日はお兄ちゃんがご飯を作る日だよ」


「あ、そうだった、ごめん今すぐ支度するよ」


「なんだか上機嫌で気持ち悪い」


「気持ち悪いって、別に上機嫌でもないし」


そのあと食卓は静かだった。

何か話した方がいいかな。

まぁ…いいか。


ご飯を終えると沙夜はさっさと自分の部屋に入っていった。


沙夜はともかく久しぶりに楽しかったな。


もう事件のことは忘れて学生生活を楽しむのも良いのかもしれない。


そんなことを考えながら1日を終えた。

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