協力者
一台の車がもうスピードでやって来て止まる。
「遅いですよ、安田さん」
「飯食ってたんだよ。これでも食うのやめてすっとんできたんだ」
「一人ですか?」
「あ、ああ。いつもの部下をつれてこうとしたんだけど、あいつ腹壊してトイレに籠ってやがって、しかたねぇから一人で来たんだよ。で、どれだよ」
僕は川の方を指差す
「また、変なもんを見つけたな。お前さん学校も行かねぇで探偵ごっこをまだやってたのか」
「どうしても、犯人を捕まえたくて…」
「まぁ、いい。今応援呼ぶから待ってろ」
安田刑事は携帯で連絡を取っている。
DNA鑑定などが行われるのかな
「あのこの指が誰のものかどうやって調べるんですか?」
「ああ、鑑識にまわして調べてもらうしかねぇな」
沈黙が流れる
「仕方ねぇ、結果がわかったら連絡してやるよ、ただし誰にも言うなよ」
「ありがとうございます」
「あと、もし犯人をみつけたとしても一人でどうにかしようと思うな。必ず俺を呼べ」
「はい、そうします。そうなることを期待します」
しばらくして、鑑識の人と、安田刑事の部下がきた。
「いつまでトイレにいるんだ、おめぇは」
「す、すいませんでした。あれ、また君か」
「その辺はもうおれが話したからいいんだよ」
これ以上僕を詮索させないようにする、鮮やかな対応だ。
第一印象とはすっかり変わり頼りになる大人に印象は変わった。
この指が誰の物なのか、これが事件を大きく動かすのは間違いない。
僕は安田刑事と別れ、連絡を待つことにした。
沙夜が帰ってきたら、謝って今日のことも報告しよう。
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