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引っ越した町は悪に満ちている  作者: まなた
瑛人編
27/178

想像と真実の狭間で

「たしかここだったよな?お前さんたちのアパートは」


「はい、すいませんでした。わざわざ家まで送っていただいて」


「いいってことよ、俺いいやつだろ?」

ニヤリと笑って安田刑事は車を走らせた。


「沙夜大丈夫?」


「うん、だいぶ良くなった、お兄ちゃんあの刑事と何話したの?」


「とりあえず家に入ろう、その話しは少し落ち着いてからにしようか」

こくりと頷き僕らは家に入った。


異常はないな。

あんなことがあった後では自然と警戒心も高まる。


とりあえず、僕と沙夜はソファーに座った。


安田刑事との話を一通り沙夜に報告する。


「つまりこの町の呪いとは今年は違うことが起きてるってことだよね」


「そうみたいだ」


「警察に安置されている…お父さんの体と、今日の顔は一致したんだよね?」


「まだ、結果は出てないけど100%間違いないだろうって」


「そう、だよね。生きてるわけないもんね」

僕は黙ってしまった。


「そうだ、ノート、お兄ちゃんノートを見せて」


「だ、大丈夫なのか?」


「うん、あんなことをした犯人…ぜったいに許さない」

僕は沙夜にノートを渡す。沙夜はじっくりと読み始めた。


「私、この北條って人がやっぱり犯人だと思う」


「でも北條は死んだんだぞ。そのあとに二人殺されてる、北條に殺すことは出来ないだろう?」


「川で見つかった遺体は本当に北條さんだったのかな…」


「えっ」


「顔のない死体でしょ、いくらでも騙せるんじゃない?しかも北條さんの家はご両親もいなくて、美咲さんだけしか今はいない。そうなると持ち物だけで警察だって北條兄の遺体と片付けたかもしれない」

美咲ちゃんに両親がいないのは初めて聞いた。


「だから川で見つかった遺体は別の誰かで今も北條は人殺しを続けてるって考えることもできるんじゃない」


「でも、僕にはこのノートは殺された妹の犯人を探すためのメモに見えるよ」


「だから、はじめはそうだったんじゃない?」


「つまりどういうことだ」


「妹さんが殺されたのは事実で、北條兄はその犯人をずっと探していた、それでやっと犯人を見つけて殺した。それから殺しに目覚めたとか…」


「さすがに妄想がすぎるんじゃないか?そうなると5年前から殺人が起きているのと辻褄が合わないよ」


「だから、犯人は北條妹が三人目の殺しだったんじゃない?それを兄が殺して…」


「殺しの呪いを引き継いだってこと」


「精神が撹乱してる人は何をするかわからないってなんかの本で見た」


「でも、呪いを模倣してるとしたら今年は殺しすぎになるよね」


「一度快楽を覚えた人間は誰かに止められるまでやり続ける、これも何かの本で見たよ」


「ちょっと頭の整理が追い付かないよ、でも北條が生きてる可能性も考えておく」


「うん、あくまで仮説だし、北條兄の遺体が本物だったらそもそもこの仮説は意味ないけどね…遺体ももう火葬したと思うし、調べる方法はない…」


「沙夜」

沙夜は頷く。


僕たちが隠したあの耳

あれを調べてもらえばこの仮説が真実になるかがわかる。


僕らはまた明け方にあの場所にいくことにした。

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