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引っ越した町は悪に満ちている  作者: まなた
瑛人編
26/178

狂気のずれ

「う、嘘だろ」

僕は目の前の光景に絶望した。

なんで父さんの顔が

はっと我に返り気を失った、沙夜を抱き抱える。


「沙夜、沙夜」


「おい、ガキどもさがらんか」

あの刑事だ。


「刑事さん、それ、父さんです。僕の父さんです」


「なんだと、おい、お嬢ちゃんはどうしたんだ?」


「この光景をみて気絶しちゃったんです」


「とりあえず、事情を聞きたい、二人とも乗れるか?」

もう一人の刑事がパトカーに案内しようとする。


「ばか野郎、パトカーに乗せんな、この子たちは被害者だぞ、パトカーに乗せたら他のやつらに怪しまれるだろ、後ろの覆面にのせろ」


「す、すいません」

後輩の刑事があやまる。

この刑事に思いやりの心があったことに僕は驚いた。


とりあえず、僕らは車に乗った。

「事情は署内で聞くけど大丈夫か?あと、今現場の方も同時進行で調べてるから、教えられることは教えてやる。どうだ」


「わかりました。妹はどこかで休ませられますか?僕が話をします」

正直僕も倒れそうなくらい頭がくらくらしてたが仕方がない。


警察署に着いて、沙夜は女性警官に抱き抱えながら休憩室?に連れていかれた。


僕は取調室だ。


「わりぃな、こんなところで」


「いえ、大丈夫です」


「無理はするなよ、辛くなったらすぐに言え」


僕はおもわず、ふっと笑う


「おいおい、もうおかしくなったのか?」


「いえ、最初の印象と違ってずいぶんやさしいんだなって、あ、すいません失礼しました」


クスッと後輩の刑事が笑った。


「俺はやさしいんだよ。なんかあったらいつでもこい、安田って言えば俺しかいないからよ」


「はい、ありがとうございます、あのさっきの顔の件ですが、あれは間違いなく父さんです」


「そうか、お前の親父さんが死んだのは2週間くらいたったか?そういや、お袋さんは大丈夫か?」


「そうですね、2週間前にここに引っ越してきたので、でも…父さんの顔は…うっ、腐乱してなかった気がします」

僕は気分が悪くなってきた。


「おいおい、大丈夫か。おい、矢島水持ってこい」

矢島と言われた刑事は慌てて水を取りに行く。


「すいません、思い出したら気分が」


「仕方ねぇよ」


「ちょうど監察の方から連絡があったが、確かに腐乱もしてない、むしろ最近殺された可能性が高いって訳なんだが」


「え、でも刑事さんたちは父さんの遺体をみましたよね」


「そこなんだよ、持ち帰らせてもらった、親父さんの遺体は間違いなく親父さんだった、なのに顔だけ死亡時間にずれがあるってこった」


「それって顔は誰かが保存してたってことですか?」


「ああ、もはや狂気だな。これはまだ確定じゃないから妹さんには言うなよ。自殺なんていって悪かったな」


「いえ」

安田刑事の印象ががらりとかわったのと、父さんの遺体の違和感とで僕の頭はパニックだ。


「とりあえず、今話せることはこのくらいだ、お前さんからは何かあるか?」


「あの、今回の首なし殺人って前からあったんですか?」


意表をつかれたのか安田刑事が一瞬固まる。


「お前さんどこまで、知ってるんだ」


「5年前から同じような事件が起きてるってことくらいです」


「その通りだ、5年だ。だが今だに犯人は捕まってねぇし、今までは1年に1人同じように殺されていた。でも今年は人数がやばい」


「やっぱり5年前なんですね、ネットとかで調べても全然情報がないんです」


「この町はあまり有名じゃねぇからな、話題にならないんだろ?でもこないだマスコミの奴らが現れてからはSNSだっけか?そこらには書き込みがあるぞ」


SNS、その手があったか。


「そうなんですね」


「安田さん、妹さんが目を覚ましました、彼女からも話を聞きますか?」


「なに言ってるんだ、もうかえってもらうところだよ」


「すまねぇな、俺が送ってやるから許してくれ」


「そんな悪いですよ」


「ガキが遠慮するなよ」


沙夜が警察官に支えながら立っていた。


「お兄ちゃん」


「沙夜、大丈夫か?」


「う、うんなんとか」


「とりあえず帰ろう、刑事さんが送ってくれるって」


僕らは安田刑事の車に乗ることになった。

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