終焉
「それで、僕を殺すのか?」
瑛人は落ち着いた声で言う。
「呪いの引き継ぎをしたんでしょ?あんたは」
「えっ」
「母さんという殺人鬼を殺してあんたは殺人鬼になった。なら私がその呪いを継いであげるわ」
「何を言ってるんだ、お前は殺人なんてしちゃいけない」
「どの口が言うのよ」
真奈美がいつでも沙夜に反撃できるように身構える。
「沙夜、わかっているだろ。僕の方が力が強いんだよ」
「うるさい、あんたなんか死んでしまえ」
包丁が止まる。
「く、由梨さん。邪魔をしないでよ」
由梨がすんでのところで包丁を掴む
痛みは感じないんだな。
「私の前で人殺しはもう2度とさせない」
「沙夜?由梨って誰だ?」
「あんたの彼女をぶん殴ったやつだよ」
由梨はもっていた花瓶で真奈美の頭を殴る
2人からしたらいきなり花瓶が真奈美にぶち当たった風に見えるのだろう
「えっ」
真奈美は頭から血を流して倒れる
「真奈美さん!!」
「誰だ?誰がいるんだ」
バキッ
瑛人の顔面を沙夜の正拳突きがヒットする
おそらく鼻が折れた…
「ぐっ、沙夜」
瑛人は鼻を押さえる。
その隙にハイキックを食らわせる。
ぐらりとなりながらも瑛人は真奈美を置いてここから立ち去ろうとする。
すると、瑛人の腹におもいっきり蹴りが入る
「ぐえっ」
瑛人がもがき苦しむ
「もう、いい加減諦めろよ」
タバコをふかしながら無精髭を生やした男が言う
「叔父さん…病院は禁煙だよ」
「アホ、そんなこといってる場合か」
「由梨さん、この人は」
「私の叔父だよ」
「驚いた、本当に由梨が見えてるんだな」
「叔父さん、警察は?」
「ああ、斉藤に頼んだからもう来るだろ」
「お嬢ちゃん、よくやったな」
「私は…私はこれでよかったの…」
「さあな、正解なんてものはすぐに出なくてもあとからでることもあるからよ」
「でも、これは正解なんじゃねぇか?」
まもなく警察がやってくる
「おう、斉藤。管轄外なのにご苦労さん」
「もういい加減にしてくださいよ。小林さん」
「仕方ねえだろ」
真奈美と瑛人は手錠を付けられ連行されていく。
「小林さん、それと南川さん?事情を聞きたいんですけど」
「おいおい、兄貴が犯人だったんだぜ。今日くらい勘弁してやれよ、そういうところだぞ。斉藤ちゃんよ」
「とりあえず、俺だけで今日は勘弁してくれ」
叔父さんは由梨に目配せする
由梨はだって頷く
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