逃避
私はふらふらと家に入る。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。大丈夫です」
「じゃあ、私たちは帰りますが、何かあったらすぐに連絡してください」
女性警官はそう言うとさっていった。
私は部屋のベッドに倒れ込む。
もう、訳がわからない。
これで殺人鬼は一人いなくなったのだ…
もう一人…そうかあいつが殺したのか…
「ねぇ、そこにいるんでしょ?」
「なぁんだ、気づいていたの?」
相良真奈美
「どうやって入ったの?」
「あらやだ、こないだマスターキーを私に渡したまんまだったわよ、沙夜ちゃん」
そっだっけ?
「あんたが殺したの?」
「殺られるまえに殺れって?私は殺してないわよ、お見舞いには行ったけど」
「行ったんだ、じゃあ誰が殺したの?」
「さあ、誰かしらね」
「知ってそうな口ぶりね」
「でも、すごいわよね、滅多刺しの上に内臓を抜き取られたらしいじゃない」
「嫌なこと思い出させないでよ」
「でも、これからどうするの?一人でしょ」
「何とかなるわよ、多分生命保険とかそういうの色々あるから…」
「14歳が一人で生活するのはダメよ」
「じゃあ、どうすればいいのよ。私は」
「親戚とかいないの…あ、いるじゃない」
「確かにあの人は祖母だけど…」
「まぁ、それも生きていればの話か…」
「えっ?」
「はい」
ごろんと転がるものが何か最初は理解できなかったが、すぐに吐き気があらわれトイレに駆け込む。
「あ、あんた。殺したのね」
「性格に言うと持ってきただけ」
「やめてよ、早く片付けてよ」
「はいはい」
真奈美はそれを袋に入れる
「いったい誰がこんなひどいことを」
「さぁ?」
「お母さんが死んだと思ったらまた、新たな殺人鬼が現れたってこと?しかも私の身内ばかり狙って」
「そうね、これは呪いなのかもね。殺人鬼の」
「呪いを利用したのはあんたでしょ」
「私は利用してないわよ、ただ殺しただけ、呪いを利用してたのはあなたのお母さんでしょ。でもその呪いを引き継いだ人が現れちゃったってことかしらね」
「誰なのよ、そいつは」
「それは私の口からは言えないわ。そういう約束だから」
私は何も言えなくなる
「ねぇ、この町にいれる方法があるわよ」
「なによ?」
「頭がおかしくなったふりをして入院でもしたら、あなたのお母さんがやったように」
「…どこまでもバカにして」
「でもそれしか方法ないわよ」
「もういい、私はもういい」
私は包丁を持ち出す。
「ちょ、ちょっと何してるの」
「もう、辛いんだよ、犯人だって私知ってるんだから」
私は包丁で自分の首を切るが、謎に力が加わり深く切れなかった…だけど気を失うにはじゅうぶんだった。
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