精神崩壊
「あらあら、随分と酷くやられたものね」
早苗は自分の母が横たわっているのを見て言う。
「ああ見事にやられてしもうたわ」
「とりあえず、怪我の治療をするわ」
「すまんねぇ」
「で、どこまで話したの?」
「来ないだの殺人はあんたがやったと言っといた」
「まぁ、それはしってるでしょうけどね。でも遺棄はお母さんでしょ」
「瑛人については私は知らないと答えたよ」
「そうね、私たちは実際に知らないからね」
「にしても沙夜のやり方にしては随分狂気なやり方ね」
「違うよ、沙夜じゃない」
「えっ?てことは相良真奈美?」
「そうだよ、あの女ここを嗅ぎ付けていたよ」
「ふーんさすがね、やっぱりあの時始末出来なかったのは痛かったわねぇ。松田のバカがしとめとこねるから」
「まぁ、まいつには期待はしてなかったけどね」
「でもそのお陰で色々と振り回されてるのよ」
「そうだねぇ、あいたた」
「で、沙夜もここにいたの?」
「ああ、沙夜の前で話すことになっちまったよ、すまないねぇ」
「別にいいわよ、あの子は私には何も事件のことには口出しできないから」
「何でそんなに断言できるんだい?」
「それだけ脅かしたからね」
「あの子だって、人間よ。人間死にたくないもの…私も同じ」
「人の命を奪っておいてよく言えるねぇ」
「ほんとね、ふふふ」
「相良真奈美はどう、動くかね」
「しばらくは動かないと思うわよ、これはそうね、私たちへの挑発だから」
「沙夜は?」
「あの子はもう精神が限界だから放って置くわ。最初はこちら側に引き込めるかと思ったのにねぇ」
「瑛人が死んで予定が狂ったわね」
「ねぇ、誰が瑛人を殺したのかしら」
「さぁ、私はむりじゃよ」
「私も流石に息子は殺さないわ」
「じゃあ、相良真奈美?」
「そうじゃないような気もするのよねぇ…もしかして沙夜だったりして」
「それは笑えない話だね」
「じゃあ、私は家に帰るからあとは適当にやってね」
「ああ、助かったよ」
さて、沙夜はどう動くかしら?
ガチャリと玄関を開ける。
「ただいま」
静かね。まさか自分で命を絶ったり…
ドアをノックする。
「沙夜?いるの?」
「い、いるよ」
「どうかした?」
「何にも、何にもないから。私今日調子悪いからご飯はいらないから」
「大丈夫?何も食べないのもよくないから作って冷蔵庫に入れとくからね」
「う、うん。ありがとう」
「いいのよ、私はあなたの大事な娘なんだから」
ふふふ、壊れていく娘をみるのも楽しいわね。もっと何か刺激がほしい。
何かいいことないかしら。
私は鼻唄をうたいながら食事を作る。
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