吉と出るか凶とでるか
私は家を出た。
やはりどうしてもあの開かずの部屋が気になったからだ。
もしかしたらもう中は片付けられているかも知れないが…
あの部屋にやはりどうにかして入りたい。
入るには隣の部屋からベランダをつたって入るしかない。
危険だけどやるしかないわ。
私は玄関を開けて、上の階に上がる。
祖母はいなそうだ。
念のため、開かなかった部屋のドアノブを触ってみる。
ガチャ…
「えっ、開いた」
罠かもしれない…私の心臓の鼓動が一気に早くなる。
引き返すか?いや、引き返したい。
怖い、怖くて仕方がない。
でも、証拠をこの目で確認しなくては前に進まない。
私は玄関のドアを開ける。
「何もない…」
そんな
私は部屋に入り部屋中をくまなく探す。
きれいさっぱり何も見つからなかった。
「嘘でしょ…1日ですべて片付けたってこと?
だから玄関のカギもわざと開けて…全てお見通しってことか…」
私はその場に座り込む…
座り込む…そうだベランダ
私はベランダに続く窓を開ける。
「あ、あ、あれは」
私はそれに向かっていく。
何でこんなところにあるのよ…
「お兄ちゃんに私があげたストラップ」
私はそれを回収した。涙が止まらなくなった。
くそう、犯人に遊ばれている。
お兄ちゃんのものまで出してきて…
絶対に、絶対に私がこの手で…
私は気持ちを落ち着かせて部屋から出る。
結局証拠は見つからなかった。
もう、祖母を捕まえて真実をはかせるしかないか?
高齢だし何とかなるだろう。
カツカツ
階段を上がる音が聞こえる。
来た。やるしかない
私は相手に殴りかかれるようにかまえをとる。
「ちょっと、ちょっと。暴力は嫌いよ」
「な、またあんた」
「もう、連れないなぁ、真奈美ちゃんって呼んでよ」
「死んでもいや」
「ちぇ~」
「て、いうか何でここにいるのよ」
「え、殺人現場を見にこようと思って」
「ああ、それならもう移動されてるわよ、昨日までここの部屋開かなかったのに、入ってくださいとばかりに今日は鍵が開いてた」
「ふーん、全部お見通しってことね、沙夜ちゃん残念」
クスクスと笑う。
「殴るわよ」
「暴力はいやって言ったじゃない。それよりさ、この部屋しか探してないの?」
「えっ?だってもうこの階は探し終えたわ」
「甘いなぁ、それはこないだまででしょ」
「そんなことあるわけ…」
「とりあえず、奥から開けてみましょう、鍵は持ってるんでしょ」
「え、うん。持ってる」
私は真奈美のあとを追う。
何だろうか、この女は殺人鬼なのに…
とても心強い背中に見える。
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