狂気は止まらず
保険医が戻ってきた。
「どうですか、先生?」
「やっぱりだめだって、それにもうお帰りになりそうだからやっぱりここで待ってて欲しいって」
「そうですか」
私は何も悪いことはしてないんだから、直接話したって問題はないだろう。
そう言いたいところではあるが、せっかく落ち着かせて帰そうとしているところにまた私が出てきたらややこしくなるのもわからなくはない。
でも、次に予想されるのは、お母さんのパート先やうちのアパートを探し出すかのどちらかになるだろう。
どちらにしても、お母さんの堪に触って殺されてしまう。
どうやって阻止すればいいのだろう。
真奈美に相談…
いやいや何を考えているんだ。
30分経過したところで、保険医がまた声をかけてきた。
「もう大丈夫よ」
「はい、じゃあ帰ります」
私は保健室から出て帰ることになった。
どこかで待ち伏せしている可能性だってある。
いや、むしろ待ち伏せしててほしい。直接私と話てほしい、じゃないと殺されてしまうから
私はアパートに帰りながら声がかかるのを期待しながら歩いた。
結局、誰からも声はかからなかった、じゃあアパートの前で待ち伏せしててほしい…
誰もアパートにはいない。
はぁ、私は家に入る。
また、明日保護者が学校に来る可能性もあるか。そしたらちゃんと話せばいい。
時間は夜の8時になった。
お母さんが帰ってこない…
ああ、お母さんに会ってしまったのだろうか。
扉のカギがガチャガチャと音をならす。
「ただいま、ごめんね。遅くなっちゃって。
すぐにご飯の準備するから」
「ご飯なら作ったよ」
「あら本当に、ありがとう」
「それよりどうしたの遅かったじゃない」
「ええ、実はほら、行方不明の二人がいたじゃない」
私は背筋がざわざわした。
「あの子達のご両親方がスーパーにこられてね、何か事情を知らないかとか、沙夜に直接会わせろって言うから、説得に時間がかかったのよ」
「それで、どうしたの?」
(殺したの?)
「なんとか、話をして納得して帰って頂いたわ、今回のトラブルに関しては、こちらも申し訳ないと謝罪した上で、お二人の行方不明には沙夜は関わってないってお伝えしてなんとかね」
「それで何とかなったの?今度は私のところに直接来るんじゃない?」
「そうしたら、逃げるのよ。母に聞いてくださいって言って」
「逃げる必要なんてないわよ、私は何も悪いことをしてないんだから」
「そうよね、でもすごい剣幕でこられるから逃げた方がいいわ」
「そう…わかった」
(殺さなかったのか、お母さんはもしかして殺人鬼じゃないのか?)
翌日
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
学校に着くと、人だかりが出来ている
何…私は嫌な予感がした。
人だかりからクラスメイトを見つけた
「ねぇ、どうしたの」
びくりとそのクラスメイトは驚く
「あ、ああ行方不明になっていた2人の両親の遺体が校門前に放置されてたんだよ」
「な、何で…」
「いや、そんなこと俺に言われても」
(何で、何で殺すのよ)
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