恐怖との戦い
「なによ、このニュース」
私はテレビを観て思わず、声を出す。
「あらあら行方不明なんて、怖いわね」
「そうじゃないわよ、この行方不明になった二人って昨日私とトラブルになったやつらじゃない」
「えっそうなの?怖いわね」
まさか、またお母さんが…
昨日帰りが遅かった…
「何だか今日は随分機嫌が良いわね」
私は思わず声をかける
「そうかしら?いつも通りよ、それより物騒だから今日も休んだら?」
「いや、これ以上休むとなんか噂されそうで嫌だから行くわ」
「そう、気をつけてね」
「行ってきます」
気を付けなくても大丈夫でしょう?どうせ犯人はあんたなんだから…
私は学校に向かうが、急に恐怖が襲ってきた。
そうだ、行方不明になった家族に襲われる可能性だってあるのだ、お兄ちゃんが相良の長女に刺されたように、私が相良の妹に騙されたように…
すれ違う人がいつ私を襲ってくるのか恐くてたまらない。助けてよお兄ちゃん
私は前に進めなくなっていた。
恐怖が私の心を支配する。
「あなた。大丈夫?」
いきなり声をかけられて私はびくりとする
知らない女の人だ…
「あ、あの」
「どうしたの。立ち止まって顔色が悪いから思わず声をかけたんだけど」
「あ、だ、大丈夫です。ありがとうございます」
私はなんとか歩みを進めた。
後ろから今の女の人が刺して来るかもしれない。
私は、足早に学校に向かった。
「あら?またあなた?」
「はい、学校には来ましたが具合が悪いので休ませてください」
いつもはサボりだが今日は本当に休みたかった。
「仕方ないわね、朝御飯はちゃんと食べてるの?」
「あまり」
「生活習慣を変えないとだめよ」
口うるさい保険医の言葉を無視して私はベッドに横になった。
ふたりの行方不明、今頃家族は必死になって探しているだろう。
そして、私とのトラブルのことも知っているだろうからいずれ矛先は私に向くはず。
そうしたらどうすればいいの。
お願いだから私に矛先を向けないで、じゃないとお母さんに殺されるから…
昨日の睡眠不足も手伝ってか目が覚めると放課後になっていた。
「あ、すいません、寝すぎました」、
保険医が慌てて私のところへ来る
「ここでじっとしてて」
「はい?」
「昨日のあなたとトラブルになった2人の親が貴方を探して今学校にきてるのよ」
「じゃあ、私はどうすれば」
「とりあえず、保護者の方が帰るまでここにいてほしいの」
「わかりました、でも私はなにもしてないのでむしろ直接話しましょうか?」
「えっ?」
私の提案に保険医が驚く。
「ちょっと校長と相談してきます」
「逃げるくらいなら、直接戦った方がいいよね、お兄ちゃん…」
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