長女のノート
そして、放課後。
私は校門前でいつまでたってもこない相良美代にイライラしていた。
まさか、殺されたか…
すると、遠くから美代が来た。
「遅い!!」
「ごめんなさい、なかなか帰れなくて」
ハァハァ言いながら謝罪してくる。
「まぁ、いいわ、あんたの家って誰かいるの?」
「お母さんがいるけど、この時間は仕事に行ってる」
お父さんは?と一瞬聞こうと思ったがやめた。
「て、ことは今家は誰もいない?」
「そ、そのはずです」
「じゃあ、あんたの家で話しましょう」
「え、ええわかりました」
美代はおどおどしながら答える。
「キョドらないでよ、あと敬語も止めて」
「は、はい」
私は美代の後ろに着いていく。
なんだか、ビクビクして、暗い女…
いや、私が威圧してんのかな。
学校から徒歩で15分程か、古びたアパートだ。
「うちのアパートと似てるわね」
「そ、そうなの?ここの二階が家の部屋があるから」
美代は鍵を開ける。
「ど、どうぞ」
「お邪魔します」
私は部屋をひとしきり見渡す。
「ほんとに誰もいないみたいね」
「疑ってたの?」
「念のためよ」
「それで、あんたの今の状況を教えて」
「え、えっと。姉の真奈美の事は知ってるよね」
「ええ、まぁ安斉山高校、連続殺傷事件の犯人よね」
私はたんたんと言う
美代は涙目になる。
めんどくさい…
「で、真奈美さんは次女だったのね。長女は?」
「お姉ちゃんは、1年前から行方不明です」
1年前彼女はお兄ちゃんを刺して逃亡した。
しかし、私の住むアパートの隣で遺体でみつかったのは私とお兄ちゃんが確認している。
けど、あのあと警察はアパートすべてを調べたが遺体は発見されなかったらしい…
警察も信用できないからなんとも言えないけど…
「そう、それであんたは長女さんの犯人を探してるの?」
「最初はショックで何もできなかったけど、ふとお姉ちゃんの部屋に入ったときに…」
美代は私の顔色を伺う。
「何?言いたいことがあるなら言ってよ」
「ノートが会って、真奈美お姉ちゃんが事故に巻き込まれたのは南川瑛人さんのせいだと書かれていました」
私は思わずカッとなりテーブルを叩いた。
「ひっ」
美代はびくりとする。
私は一度深呼吸をする。
「で、そのノートは今もあるの」
「はい、お姉ちゃんの部屋に置いてあります」
「持ってきて」
「え、でも」
「犯人を捕まえたいなら私に協力しなさいよ」
暗い顔をしながら、美代は姉の部屋に入っていく。
また、ノートか…
それにしてもやはり父親がいるようには見えない。
この家庭はどういう状況なのだろう。
「あ、あの持ってきました」
美代がノートを私に差し出す。その手は震えている。
「ありがとう」
そして、私はノートを開いていく。
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