相良美代
保険医が席を外した。
チャンスだ。
私はカーテンを開ける。
「ねぇ、あんた起きてよ」
私は容赦なく身体を揺する。
「は、はい。な、何ですか?」
私の方をみてビクビクとしている。
「あんた、さっきお姉ちゃんが殺されたとか言ってた…」
「えっ、言ってましたか?」
私はイライラしていた。
「とぼけなくていいから、誰に殺されたの?噂の殺人鬼?」
「やめてください、その話しはしたくありません」
「図星なのね」
「私は南川沙夜、中等部の3年よ、あんたは?」
「わ、わたしは、相良美代です。同じ3年生です」
「相良!!相良ってあの相良真奈美の妹!?」
「は、はい。そうです」
「あんた、姉が2人いるのね」
「何で知っているんですか?」
「詳しくはここでは話せないわ。いつ保険医が戻ってくるかわからないし」
「放課後、校門の前でまってて」
「わ、わかりました」
なんて、ラッキーなんだ。まさかあの相良真奈美の妹と接触できるとは。
しかし、妹がいるとは、やはりあの女は侮れない。一切自分の身の内は明かさない。
あの女はそもそも殺人鬼であることに代わりはない。
最悪、この妹を人質に取って情報を吸い出すか…
いやあの女は妹を殺すだろう…
何しろ放課後だ。
私はベッドに横になった。
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