魔の手がついに
「ただいま」
「あら。ずいぶん遅かったわね」
母さんが不思議そうに声をかける。
「ああ、沙夜が来たからちょっと立ち話をしてたんだ」
「ふふ、二人ともほんと、仲良しね。私に聞かれたらまずい話なの?」
僕は思わず言葉を失う。
「内緒、私とお兄ちゃんだけの秘密なの」
沙夜は僕に腕を組んでくる。
「あらあら。残念」
誤魔化せたのだろうか。
僕と沙夜はそれぞれ部屋に入る。
うっ。急に吐き気が襲ってきた。先程の光景を思い出したからだ。
それにしてもすごい光景だった。
あれを警察に通報したらなんとかなるのか?
いや警察も信用できない。
もう、母さんを問い詰めるしか方法は残っていないだろう。
私は着ていた服を全部脱いだ。
気持ち悪い、気持ち悪い。あの光景を思い出すだけでも吐き気がする。
今頃お兄ちゃんは何を考えているのだろうか。
あの写真を警察に届けるのか?
いや、多分警察は信用できないし…
お母さんに直接話す方法をとるのかな…
翌日、私は目を覚ます。
えっもうこんな時間。何で誰も起こしてくれないのよ。
私は急いで自分の部屋を出る。
慌てて洗面所に向かおうとした、一瞬食卓を見た…
は…
何…
うそ…
そんな訳ないよね…
夢…
そう、これは夢…
食卓には首のない制服をきた男性が座っていた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
私は叫ぶことしか出来なかった。
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