再会
約束の日が来た。
僕は森に向かって歩いている。
あのあと沙夜は目を覚ましたが体調が優れず、学校も休んでいる。
はぁはぁ、相変わらず山道は疲れる。
そして、いつもの場所に着いた。
「真奈美さん、僕です」
「おはよう、瑛人くん。こんなに早く来るとは思わなかったわ」
「真奈美さん、沙夜と会ったの」
「うん、本人から聞いたの?」
「いや聞いてないけど、気を失って帰ってきたから」
「気を失ったのに帰ってこれたの?」
「司書さんが連れてきた」
「あら、そうなんだ。よかったわね。殺されなくて」
「それは司書さんも共犯ってことでいいんだよね」
「もちろん」
「沙夜はどこまで知ってるの」
「あの子、すごいわよ。お母さんが犯人ってわかってたし、安田刑事と管理人さんが共犯ってのも見抜いてた」
「そ、そうなのか」
「今、家は沙夜ちゃんと、お母さんの二人か…」
僕は背中あたりがぞわりとした。
「ま、まさか。母さんに沙夜が殺される」
「どうかしら、私ね、沙夜ちゃんにお母さんとよく話すか、瑛人くんと一緒に真実を突き止めるか提案したのよ」
「母さんと話したら殺されてしまう」
「どうなのかな、ねぇあの子はどっちを選ぶと思う?」
「もちろん、僕と真実を突き止めることだよ、そもそも最初はそうしてたから」
「そう、それならヒントをあげるわ、私なりに調べたこと」
「あなたたちがここに引っ越してきたのは、偶然じゃないわよ」
「どういうこと、だってお父様、優秀な人だったんでしょ?」
「多分、仕事人間だったし、役職も持っていた、なのにこんな田舎町に転勤になったのには違和感はあった」
「聞きたくはないでしょうけど、お母さんがお父さんのそうね、上司?社長?とおねんねしたのよ」
「そんなことあるわけ」
「手段を選ぶ人かしら?私だったらそういう方法も選ぶわよ」
「そんな…じゃあ、母さんは本当に父さんを殺すことを前々から計画していたのか」
「でしょうね、でも結果的にはよかったのかもね」
「…」
「何だかんだで、今3人で上手くやっているんでしょう」
「た、確かにでも、母さんには不信感を持ちながら生活してるから気が休まらないよ」
「まぁそうよね」
「でも今までの話だと、母さんは祖父母と定期的に連絡を取り合っていて、父さんを殺すことを計画していた。それで母さんは父さんの上司に取り入って…まんまとこの町にきたと。それで父さんは殺された…」
「そうね」
「そして、安田刑事は母さんの叔父ってところか、でも刑事と共犯者という真実に耐えられなくなり自主しようとしたところをあの松田刑事に見抜かれて殺された?あるいは遺書を入れ換えた」
「そうだと思うわ」
「じゃあ、協力者の松田はなんで殺されたんだ」
「なにか失敗したんでしょ、私を殺すのに失敗してるし…あとはあなたに何か危害を加えた?」
「そういえば、一度うちに来て僕に取り調べをしようとして僕がパニック状態になった」
「じゃあそれね。それで殺されたんだわ」
「そんな、そんな簡単に殺せるのかよ」
「私なら殺します」
「真奈美さんは、いわゆるサイコパスなのか?」
「サイコパスの概念がどういうものかはなんとも言えないけどそうなのかもね、多分お母さんも一緒よ。だから沢山人を殺しても普通にしてられるのよ」
「そうか。でもそのあとの殺人がどうしてもわからない」
「そうねぇ、何て言えばいいのかなぁ」
僕たちの話しは続く。
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。