闇と闇の狭間で
「ぐうぅぅ」
私は胃の中のものを全て吐き出した。もはや胃がそのまま出てきそうだ。
「あいつ、どこに行ったのよ、こんなの置いてかないでよ」
私はフラフラしながら森から出る。
もう、何がなんだかわからない。
お兄ちゃんは一人でこの悩みを抱えていたのだろうか。
だとしたらあんな状態になるのもわからなくはない。
だめだ、意識が遠退く…
森からかろうじてでたがもう立っていることさえ難しかった。
「おやおや、お嬢ちゃん大丈夫かい?」
その声に私の精神は侵されその場で倒れ混んだ。
「ほんとにご迷惑をおかけしました」
「いいんですよ、でもどうしたんですかねぇ」
僕はゆっくりと部屋から出てきた。
「どうしたの?」
「瑛人…」
「沙夜が森から出てきて、そのまま気を失ったって」
「えっ」
「でも、司書さんがたまたま車で通りかかってね。ここまで連れてきてくれたのよ」
沙夜は顔面蒼白になって気を失っている。
何があったんだ…
「とりあえず、そこのソファーに寝かせましょう」
「じゃあ、私はここで失礼しますよ」
「本当にすいません、後日お礼に伺います」
「いいよ、いいよ。気にせんで、じゃあここで失礼しますよ」
「本当にありがとうございます」
母さんは丁寧にお辞儀をしていた。
沙夜…
僕は沙夜の顔を心配そうに覗き込む。
「瑛人、あなたは大丈夫なの?」
「うん、薬のお陰かな、少し寝てよくなった」
「そう、それならよかったわ」
「沙夜、病院に連れてかなくて大丈夫かな?」
「そうね?この時間だと救急になっちゃうし、少し様子を見ましょう」
僕は黙ってうなずく。
かわいそうな、沙夜。いったい誰がこんな目に。
森から出てきた…
真奈美さん…沙夜は真奈美さんと接触したのか。
それが原因でこんなことになったのか?
真奈美さんは何を話したんだ?
真奈美さんとの再開の日は明後日に迫っていた。
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