悪夢
「ただいま」
「あら?瑛人早いわね」
「うん、ちょっと調子が悪くて帰ってきた」
「そう」
「汗かいて気持ち悪いからシャワー浴びてくる」
「そう、タオル置いておくわね」
「ありがとう」
僕はシャワーを浴びる。
誰だ。誰が遺体を…
確かに管理人…祖父は頭を撃ち抜かれて息絶えた。
むしろあれで生きていたらゾンビだ。
僕は風呂場から出た。
「あら?もういいの」
「うん、汗をながしたかっただけだから、少し横になるよ」
「そう、大丈夫?」
「うん、心配しないで」
「あ、そうそう、今日ね。管理人さんのお家に行ったのよ」
僕は思わず足が止まる。
「それで?」
「それが、誰もいなくてね。家賃が払えなかったの。夕方になったら奥さんが帰ってくるだろうからまた行ってくるわね」
「そ、そう」
僕はそう言い残して部屋に入った。
ばれている。祖父が殺されたこと。それに僕が関わっていることを。
どうする、今白状して真奈美さんを裏切るか?
そうすれば母さんの真の目的がわかるかもしれない。
僕は真奈美さんの顔を思い出す。
駄目だ、とても裏切ることはできない。
真奈美さんに連絡をとってみるが電話には出ない。
メールも返ってこない。
あの後、母さんに殺された可能性もある。
母さん、あなたはいったい何人殺しているんだ?
そして、なんのために殺しているんだ?
教えてくれ
いや、もういい。もう何も起こらなくていい。
「やあやあ、昼間はすまなかったね、うちに来てくれたんだって?」
「あら、管理人さん。わざわざすいません」
え、嘘だろ。あんたは死んだはず、この目で確認した、いや僕が埋めた。
僕はあわてて部屋の扉を開ける。
銃を僕に向けて、真奈美さんの首を持った祖父がニヤリと笑う。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
部屋の扉が勢いよく開く
「どうしたの?瑛人?」
「え、あ、夢?」
「ひどい汗、今タオルを持ってくるわ」
どこからが夢だ?
「すごく具合が悪そうね、母さん出掛けるのやめようかしら」
「でかける?どこに?」
「管理人さんのお家。さっき話したじゃない」
「あ、ああそうだったね。大丈夫だよ。心配しないで」
「心配するわよ。じゃあ沙夜が、帰ってきたら行こうかしら」
「あ、ああ」
「ほんとに大丈夫?」
「うん」
ひどい夢だ。真奈美さん無事でいてくれ。
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