殺人鬼からのヒント
「どう?瑛人の様子は」
「あ、お母さん。まだ寝てるよ」
「そう、沙夜。貴方も少し休みなさい」
「ありがとう、ねえ、お母さん」
「どうしたの?」
「相良真奈美はどこにいるのかな?」
「わからないわ、あれだけ殺しているのにその間誰も彼女を捕まえることができなかった.お巡りさんも殺されてるのよね」
「狂人の前では人は動けなくなるんだよ」
ベットから声が聞こえた。
「お兄ちゃん、目を覚ましたの」
しかし瑛人は目をつぶっている。
「今の声聞こえたよね?」
「沙夜、あなた疲れているのよ。私には何も聞こえなかったわよ、今日はもう帰りましょう」
「…わかった」
確かに聞こえた気がしたのに…
病室から出ていくふたりを横目で瑛人は見ていた…
「やっと君と話せるね、真奈美さん」
「どうして僕に会うためにあんなことをしたんだい?」
ベットの下から人が出てきた。
「気づいてくれてたのね、瑛人君」
「ああ、あの刑事がゴタゴタを起こしている時に看護師のふりをして病室に入ってきただろう。そのあとはそこにずっと隠れてるなんてやっぱり君は普通じゃない。その看護師の服はどうやって手に入れたの?やっぱり殺したの?」
「全問正解、100点満点だよ。瑛人君」
「あの刑事も殺したの?あれからすっかり姿をみない」
「ぶぶー不正解。あの刑事はあなたのお母さんに殺されましたー」
「やっぱりそうか」
「あ、瑛人君ひどい、騙したわね」
「どうして、君も母さんも人を殺すんだい?2人はなんだか似ているよ」
「うーん、半分正解で半分不正解ってとこかしら」
「どういうこと?」
「私はね、昔から人が死んでいく様を見るのが好きだったの、殺人事件のドラマとかすごく好きでね。あの被害者が怯える姿が私ゾクゾクしちゃうの。だったら自分でもやってみようって思ったの」
「それで、自分の両親を」
「そう、それは愉快だったわ。まさか自分の子供にに殺されるなんて…あの顔をみると今でもゾクゾクしちゃう、その後はね、事件の被害者としておばあちゃんのところに預けられて1年間はいいこにしてたの。でもあの時の感覚が忘れられなくて…」
「おばあさんも殺したんだ」
「うん、そのあとは近所のおじいさんとおじさん、あとは小学生だったかな?」
「僕がこっちに来てからは?」
「あなたがこっちに来てからはこないだの学校襲撃の時に何人か殺しただけよ、他の殺人は私じゃありませーん」
「じゃあ、半分正解って…」
「そう、あなたがここに来てから起きた殺人はあなたのお母さんと複数人がやったことよ、ただ目的が違うわね。私は快楽のため。あなたのお母さんたちはある人の快楽のためにやっている」
「ある人って?」
「それは自分で考えないと」
「でもさすがに焦ったわ、まさか私を殺そうとしてきたからね、ちょっとあなたのお母さんを刺激しすぎたみたい」
「何をしたんだ、北條美咲、彼女のノートまだ持ってる?」
「え、ああ持ってるよ」
「あれね、私があげたの。ここまでは私がまとめたからあとは妹とお兄ちゃんの仇を討つために役に立ててねって」
「そしたら、美咲ちゃん殺されちゃった、あのノートにも犯人のヒントを書いてあげたんだけどな」
犯人のヒント…僕も一通り読んだがわからなかった。
「じゃあ、瑛人君は、三咲ノートとフリーライター資料があるんだね、実はもう犯人わかってるんじゃないの?」
僕は黙ってしまった。
「そっか、お母さんと、安田、松田、それ以外がまだわかってない感じ?」
「じゃあ、ヒントをあげます。あなたがきてからの連続殺人は、私が起こした連続殺人を利用してます。その利用されて始めに殺されたのがあなたのお父さん。でもお母さんにはアリバイがある」
「つまり、お父さんを殺せるのはあの家に入れる人です」
「え、それって…」
「じゃあね、また会いましょう。ばいばい」
真奈美さんは手をふって病室から出ていった。
病院から出ていくまでにまた人を殺していくのだろうか…
僕は目を閉じて再び眠った。
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。




