一家団欒
家に帰ってから僕はスマホで読書をする方法を、沙夜に聞いていた。
「だから、これをダウンロードして、違うそこじゃない」
「えっと、ここでいいんだよね」
「そうそう、で、パスワードを設定して」
「パスワード?めんどくさいなぁ」
「当たり前のことを言ってるのよ」
「ふふ、2人とも仲良しねぇ」
「よし、ログインできた」
「そうそう、課金はしないでよ、きりがなくなるから」
「課金の仕方もわからないな」
「一応教えとくは、教えとかないと知らないうちにしちゃいそうだから」
「課金しないとどうなるの」
「1日に読めるページが決まってるのよ」
「それで、沙夜が朝言ってた作品を読むにはどうするの」
「まだ、ちょっとまって初期設定が終わってない」
「まだ、あんのかよ」
「こんなの簡単よ。お兄ちゃんほんとに高校生?」
「ば、バカにするなよ」
「はいはい、一旦やめて、ご飯よ。2人とも」
「もうあと少しなのに、てか普通ならとっくに終わってるのに」
「悪かったな、機械音痴で」
「機械音痴というか、じじいよ」
「ほらほらケンカしない」
「でも、お母さんも気になったわね、その電子書籍?」
「え、お母さんも設定する?やってあげるから」
「ほんと、私も暇な時に本を読みたかったのよ」
「おい、僕の時とは対応が違うじゃないか」
「お兄ちゃんは普通自分でできるんだから」
「ふふ、瑛人。残念でした」
「食事終わったらささっと、設定するからな」
「私に教わりながらね」
「ぐぅ」
僕は言い返せなかった。
「よし、ご馳走さま、沙夜」
「まってよ!私はまだ食べてるの」
僕は先にソファーに座った。
「ちょっとスマホいじらないでよ、途中までのが戻ったら最悪だから」
「わかってるよ、待ってるから早く食べてくれ」
「もう、じじい」
「なんだか久しぶりに賑やかねぇ」
母さんはニコニコ笑っている。
なんだか、幸せな日常だ。
これが真実だったら良いのに…
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