サイコパスとは
あれから、あっという間に夏休みは終わっていた。
その間は特に事件も起きることはなかった。
この夏休み中、僕はひたすら資料をもとに犯人の共通点や真奈美さんについてまとめていた。
しかし、やっぱり、どれもいまいち真相にたどり着けないでいた。
そして気づくと2学期が始まった。僕はこの資料を見つからないための場所としてえらんだのは…学校に使っているカバンだった。
家に資料を置いていたらおそらく部屋中を探されるだろう。
何でそう思ったかはあの発言だ。
「東京の喫茶店で自殺があった」
帰ってきてから調べたがこのニュースはこんな田舎町にまですぐには報道はされていなかった。
そう、つまり僕の行動を何らかの方法で監視していたのだ。
今頃必死になって探しているだろう。
思わず僕はニヤリとした。
「何笑ってんの」
「あ、いや思い出し笑いだよ」
沙夜と登校していたのを忘れていた。
「サイコパス」
ぼそっと沙夜が呟いた。
僕は思わず、ぎょっとしてしまう。
「今携帯小説で読んでいる本の犯人がサイコパスだったってオチだったのよ、じゃあ仕方ないねで終わりってなんだか腑に落ちないわ」
「そ、そうなんだ。てっきりゲームをやってるのかと」
「ゲームもやってる」
「今度小説の見方教えようか?」
「ああ、そうしてくれ。でも今の作品はネタバレしてるからいいかな」
「いや、読んでみると面白いかもよ、サイコパスの気持ちが知れるかも」
「サイコパスってよく異常殺人者に使われるんだろ?そんなやつらの気持ちは知りたくないな」
そう言ってみせたが、かなり興味が沸いた。
さりげなくその作品を教えてもらおう。
「じゃあ、帰ったら家で教えてよ」
「なんだ、興味あるんじゃん」
僕は高等部の方へ歩いていった。
「サイコパスについて知ってどうするの?知ったところで…あの人がそうであることに変わりはないのよ」
私は兄の背中を見ながら呟いた…
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