東京にて
「東京に?」
「そう二日間くらい、友達のところに行きたくてさ、夏休みだし」
「そう、いいんじゃない。息抜きしてらっしゃいな」
「私も行く」
「だめよ、沙夜さすがにそれは」
「ごめんな、お土産買ってくるから」
「東京のお土産ってなによ」
「なんだろうね」
そして、翌日僕は東京に出掛けた。
「はぁ、凄い時間がかかった」
友達と遊ぶと行ったが実際はあの人に会うため。
この2日間の旅費もなんとか小遣いでまかなえそうだ。
僕は約束の喫茶店についた。
さて、はたして来るのだろうか。
「あの…南川さん…ですか」
目の前に女性が立っていた。
来た。
「えっと、フリーライターの…」
「はい、滝川と言います」
「わざわざすいません」
「いえ、そちらの方こそ、遠くから…」
「気にしないでください、早速ですけど、旦那さんの事件についてどこまで調べたんですか?」
「はい、あの彼はフリーライターなので今回の事件についてよく調べていました。その資料を今日お持ちしました」
思わぬ収穫だ。
きっと沢山調べているにちがいない。
「あの、見てもいいですか?」
「どうぞ」
「すごい、ここまでよく調べている」
中には5年前からの殺人の詳細、被害者の名前、交遊関係など個人情報が書かれていた。
これは性格なのか、一人一人の被害者に対してしっかりファイリングされている。
ペラペラとめくっていくと、父さんの情報まで書いてあった。
「あ、すいません。彼の仕事上あなたのお父様のことも調べてました」
「あ、いいんですよ」
「それで、その被害者家族と連絡が取れたって意気揚々とあの町に行ったんです、あ、ごめんなさい。意気揚々だなんて」
「いいんです、僕も旦那さんと話したかったので」
「その資料あげます、私にはもう必要ないから」
「あの、僕を恨んでいますよね、僕が旦那さんを呼ばなければ、死ななかった…」
「恨んでないと言うのは嘘になります、でも彼が選んだ仕事です、いつこうなってもおかしくはなかった」
「でも、旦那さんすごいです、この資料があれば犯人を捕まえられるかも」
「もう、いいんですよ…」
「えっ」
ガタリと女性は立ち上がった。カバンから包丁を出した。
きゃああ
店内に悲鳴が響く。
しまった、こないだの教訓をいかせてなかった。
僕が旦那さんを呼んだんだ恨んで殺されることくらいなぜ考えられなかったのか。
「彼の無念を晴らしてください、今いくわ」
「えっ」
すると女性は包丁で自分の首を切りつけた。
血が盛大に吹き出した。
しばらくすると女性はその場で倒れこみ生き絶えた。
暗雲絶叫が響くなか、僕は資料をもって慌てて逃げ出した。
めんどくさいことになってしまった。
ここで捕まったら嘘がばれる。
誰かが追ってきてたが何とか逃げきった。
「はぁ、はぁ。くそあと2日間どうやって過ごせばいいんだ」
別に彼女を殺した訳ではないが…監視カメラとかでばれるのかな…
くそ、こんな予定じゃなかったのに。
すると目の前にまんが喫茶があった。
とりあえず、入って資料をもう一度じっくりと読もう。
僕は店に入っていった。
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