表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引っ越した町は悪に満ちている  作者: まなた
瑛人編
105/178

日常と闇の間

「ただいま」


「お帰りなさい、瑛人、沙夜」


「どうだった?松田は来た?」


「いいえ、来てないわよ」


沙夜は母さんの手に気づいた。


「お母さん、その手の包帯どうしたの」


「ああ、これ。まぬけなはなしなんだけど、火傷してびっくりして、手を反射的に離したら壁に思い切りぶつけちゃって」


「はは、母さん。おっちょこちょいだね」


「笑わないでよ、恥ずかしいんだから」


「今日はすき焼きでも作ろうと思ってるのよ」


「あ、いいね。すき焼き」


「すき焼きか…」

チラッと沙夜はご機嫌な母を見る。


「松田はもう来なそうね」


「私もそんな気がするわ」


「なんだか、呑気だなぁ、2人とも。しばらくは警戒してくれよ」


「はいはい」


それにしても松田に関してのニュースは今だ逃亡中か?という見出しばかりだ。

あいつどこに逃げたんだ。

母さんの言うことを聞いて自首すればよかったのに。


「あの人、自首しなかったのね」


「え、ああそうみたいだね。母さんの言うこと聞けばよかったのに」


「どちらにしても、今までの事件も彼だったとしたらもうこの町は平和かしらね」


「そうだといいけど」

沙夜はぽつりとつぶやく。


「松田が連続殺人犯じゃないって思ってるのか?」


「証拠もないし、これからも殺人のきっかけは起きるかも知れないし」

沙夜の言ってる意味がよくわからなかった。


「2人とも学校に行く時間大丈夫?」


「あ、やばいつの間にこんな時間だ」


「行ってきます」


「行ってらっしゃい」


「お母さんの手…」


「えっ」


「ううん、間抜けだなって」


「はは、そうだね。ほら急ぐぞ」

沙夜はだまって瑛人の後をついていく。


その様子をアパートの外から早苗は見送る。


「また、きっかけは起きるかも…ね」


「そうならないことを祈るわ」


早苗は鼻唄を歌いながら家に戻っていく。

お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ